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特定技能外国人の雇用を検討できる企業の現実的な企業規模

特定技能外国人の雇用を検討しています。いわゆる中小零細企業会社でも実際に雇用可能でしょうか?

 

特定技能は制度が複雑で事務負担も大きく、自社対応できる会社は限定的と思料します。外注する場合も相応のコストがかかりそうです。

 

膨大な量力を伴う報告義務が3か月ごとに課せられる

特定技能ビザは、その取得時にも膨大な量力を必要としますが、その取得後により煩雑さが本領発揮します。雇用する企業及び登録支援機関は3か月に一度入国管理局へ外国人の活動状況、賃金支払いの状況、定期面談の報告などの支援状況を克明に報告しなければなりません。比較対象とした日本人従業員の賃金台帳などの添付資料も併せて求められます。

さらには、特定技能外国人受入れに係る状況が変わった場合は、3か月ごとに課せられる定期報告の他に、随時報告が求められます(=それらの随時報告の義務やその報告内容を理解していないと、法令で定められた報告義務を怠ることになり、その後の在留資格の更新や当該企業による今後の新規雇用手続きにも影響を与え得ます)。しかも、年に一度、在留資格の更新手続きもあります。

実務の現場に居る者として、これらの複雑な手続きを人事担当者が理解して対応できる規模の受入れ企業は少ないと思料しています。

(所属機関の報告書式一覧・自社で外国人支援をする場合)
1.所属機関による届出の手引き(参考:P85-101)
http://www.moj.go.jp/content/001309878.pdf
2.届出する書類(定期報告)
(受入れ状況に関する書類)
参考様式第3-6号 受入れ状況に係る届出書【PDF】 【記載例】
参考様式第3-8号 活動状況に係る届出書【PDF】 【記載例】
※ 特定技能外国人の賃金台帳等を添付
※ 特定技能外国人の指定する預金口座等への振込明細書および特定技能外国人の預金口座等の通帳の写し又は取引明細書の写しを添付
参考様式第3-8号(別紙) 特定技能外国人に対する報酬の支払状況 【PDF】
※ 同一の業務に従事する日本人従業員の賃金台帳写し等を添付
(外国人支援に関する書類)
参考様式第3-7号 支援実施状況に係る届出書【PDF】  【記載例】
参考様式第3-7号(別紙) 1号特定技能外国人支援対象者名簿【PDF】
参考様式第5-8号 生活オリエンテーションの確認書【PDF】
参考様式第5-5号 定期面談報告書(1号特定技能外国人用)【PDF】
参考様式第5-6号 定期面談報告書(監督者用)【PDF】
3.届出先:
所属機関の住所を管轄する地方出入国在留管理局
4.期日:
原則、四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内

 

専任の人事担当者が在籍している企業規模が現実的

上記のように3か月に一度これらを対応するためには、受入れ企業には専任の人事総務担当者が在籍しているレベル以上の企業規模であることが現実的だと感じています(上記の書式の中身と複雑な運用要項のリンクをご覧ください)。専任の人事総務担当スタッフが居る企業はそれなりの規模です。独立した人事部などの専門部署を持ち相応の人事スタッフが居るような手外食チェーンなどは問題にならないと思いますが、管理部門全体を、企画、総務、経理、人事、その他会社の雑務庶務を、1-3名などで回している会社などには対応は難しいと感じます。上述の通り、入管法の法令規則や入国管理局の書式のお作法まで慣れなければならないためです。

登録支援機関などに外注する場合

そうなると、受入れ企業は、登録支援機関など外部の業者や専門家へ報告手続き等を外注することになりますが、外注された登録支援機関や専門家においても、それらに対応する体制が求められます。そして、登録支援機関や専門家も、これらに対応するために事務スタッフを確保し、それらの人が制度を理解した上で手続きをこなせる体制を構築しないといけないため、人件費や教育コストなど相応のコストが必要になります。

したがって、外国人支援業務には、現行の技能実習制度で監理組合が受け入れている手数料の水準程度(1人当たり月4-5万円 or less /技能実習制度と異なり特定技能は必ずしも送り出し機関が絡んでいないなどがあるためor lessとしています)が外注を「受ける側」の運営上の一つの目途になろうかと思います。つまり、特定技能外国人を雇用しようとする企業サイドも、特定技能外国人支援費用が月に1人当たり月4-5万円 or lessくらい必要になる可能性があることには留意しておくべきです。

他方で、現在、特定技能に新規参入した登録支援機関による特定技能外国人の支援費用のダンピングで、格安の価格の外国人支援費用を提示している業者もあるように聞いています。しかしながら、実際の実務負担の量や質を鑑みると、格安事業者は入管当局が求める事務負担とその収支が合わずに早晩淘汰されて、それらの格安な外注費用は適正な水準に上がる可能性は十分にあり得ます。それに、年に一度の在留資格の更新申請費用も考えなければなりません。

つまり、受入企業側も、外注するにせよ、自社でスタッフを確保するにせよ、上記の水準くらいの月次のキャッシュアウトを覚悟しなければならないため、

「特定技能外国人を雇用する事での期待収益>グロス・キャッシュアウト」

となることを意識しなければなりません。

なお、行政書士以外の登録支援機関による申請取次業務には法令上の制限が課せられていますので、雇用主企業および登録支援機関となる事業者は注意する必要があります。

特定技能を検討している企業へのコンサルティング

コンチネンタル国際行政書士事務所では、特定技能を検討している企業への初期的コンサルティングを行っています。企業として雇用する場合の規制やコスト構造、ビジネス上のリスク・留意点などの初期的論点を洗い出して整理します。企業はそれらの論点と自社の状況を踏まえて、特定技能外国人の採用を検討することが可能になります。

初期的コンサルティング料:30min 5,000円(税抜き)
※概ね1時間から2時間くらい/回が目安となります
この記事を書いた人

村井将一(むらい まさかず)
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施。経営者向け株式報酬制度の日本国内初導入を指揮。

専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員

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