外国人留学生が学校に通いながら経営管理ビザを申請
外国人留学生が大学などに在学しながら経営管理ビザを申請することは可能でしょうか?
すでに卒業に必要な単位が取得済みであるなど、主たる活動が企業経営に向けられるのであれば、経営管理ビザを申請できる可能性があります。
企業経営に割ける時間と経営能力
大学在学中であっても、大学4年生などは、既に卒業に必要な単位は3年生で取り終わり、4年生は就職活動とゼミだけの人もいると思います。卒業に必要な履修科目や単位を殆ど取得済みの場合、学校に行くのは週1日のゼミだけの場合もあります。
通常は学校に行かない時間で就職活動を行うところ、就職をせずに卒業後直ちに起業するつもりであれば、在学中に経営管理ビザへの変更を申請できる場合もあります。
なぜなら、学校に週に1日それも午前か午後の時間しか行かないのであれば、卒論執筆などはありますが主な活動を企業の経営活動に割く事ができるからです。なお、この場合、大学等には事前に在留資格の変更を考えている旨を相談しておくことも必要です。
ただし、外国人留学生が在学中に経営管理ビザを申請するような場合は、通常の留学生からの経営管理ビザのように審査は厳しくなります。
成績が良好であることや単位の取得状況を説明し、平日の多くの時間を経営管理の活動にさける状況であることを証明するほか、自身の経営能力を証明するために通常よりもしっかりと作り込んだ事業計画書を作成したり、その裏付けとなる事実を証明する文書が必要になります。
私は金融機関でベンチャー企業の事業計画書を1000社くらいは見てきましたが、その経験からも、納得できるま水準の事業計画書には、現役で事業を行なっている人であっても、なかなか遭遇することがありません。100社あって5社から10社くらいです。
中小企業庁の調査(2017年中小企業白書)によると、日本は比較的起業する人が堅実なところや、個人事業主の開業が入っていないなどで数字上の企業生存率は高く出ていますが、グローバルで見ると創業5年で生き残れるのは半数前後です。
それだけ事業で生き残るのは厳しく、かつ、当初の事業計画が重要であるということですし、事業経験がない人であればなおさら厳しくやっていかなければなりません。
ポイント
在学中に経営管理ビザへ変更する場合の、ポイントは以下の通りです。通常よりも審査が厳しくなるのを見越してどれだけ疎明する資料を文書で提出できるかがポイントになります。就職面接のように、面接がないので、本人の人間性や意気込みを示す場所もないからです。そのような主張立証は、専門家に任せましょう。
- 留学生なので資格外活動違反をしていないか
- 成績が良好かどうか
- 単位の取得状況
- 資本金の出所
- 通常よりもしっかりした事業計画書
- 事業をやっていけるエビデンスとなる事象の資料(研究業績)
- ビジネスプランコンテストの入賞実績
- 既存事業を株式買取などで引き継いだ場合 など
経営管理ビザ不許可になったら
ちなみに、留学生の経営管理ビザへの変更申請が不許可になった場合、留学ビザの期限までは留学で滞在ができます。したがって、経営管理ビザが取れたら学校を辞める、不許可になってしまったら学校を辞めずに卒業して、卒業後に再度トライするという選択肢も可能です。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員
【外国人のみなさま】
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◆ 日本国籍をとりたい
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