中国人と結婚して日本で暮らすには?配偶者ビザの手続き・必要書類ガイド
中国人のパートナーと国際結婚して日本で暮らすには?必要な手続きと注意点
日本と中国の双方で結婚手続きを行い、両国で婚姻が成立した後、日本人の配偶者等の在留資格を申請します。
概要
日本人と中国人が結婚して日本で一緒に暮らすためには、日本と中国の両国で結婚手続きを行い、正式に婚姻関係を成立させたうえで「日本人の配偶者等」の在留資格(ビザ)を申請する必要があります。日本と中国の両国で結婚が成立していることが、在留資格申請の必須要件です。
したがって、国際結婚においては「結婚手続き」と「在留資格(ビザ)申請手続き」という2つの重要なステップがあることを理解しましょう。
中国人配偶者との国際結婚で注意すべきポイント
中国と日本では結婚可能な年齢が異なります。中国では男性22歳、女性20歳以上である必要があり、これを満たしていないと結婚は成立しません。さらに、両国の法律に基づいて適法に結婚が成立していることが、日本での配偶者ビザの申請条件となります。
次のようなケースでは偽装結婚と疑われやすく、入国管理局の審査が厳しくなります:
- 元技能実習生と結婚
- 元留学生と結婚
- SNSやマッチングアプリでの出会い
これらのケースでは、婚姻の実態をしっかりと証明するための書類準備が非常に重要になります。
どちらの国で先に結婚するべきか?
特別な事情がない限り、中国で先に婚姻登記をすることをおすすめします。理由は、中国の婚姻証が取得できるためです。これは将来的に中国で生活する際や各種手続きで必要になることがあります。
日本で先に婚姻届を提出すると、中国で婚姻証が発行されない可能性があるため、たとえ現在中国人配偶者が日本に在住していても、できる限り中国で先に手続きを行う方が望ましいです。
中国で先に婚姻手続きをする場合
中国での婚姻手続きは、中国人配偶者の戸籍地(省や直轄市等)にある「婚姻登記処」にて、日本人と中国人が必要書類を揃えて二人で出向き、「結婚証」を取得することで正式に成立します。
婚姻手続きの流れ
- 中国の地方民生局婚姻登記処へ出向き、登記手続き(中国人配偶者の戸籍所在地の省や直轄市等)
- 結婚証の発行(ここで中国での結婚が正式成立)
- 日本の市区町村で婚姻届を提出(報告的届出)
- 配偶者ビザの申請準備
日本人側の必要書類
- 婚姻要件具備証明書(日本法務局発行)
日本人の婚姻要件具備証明書(いわゆる独身証明書)は、日本人が年齢や未婚であることなど日本の法律上結婚できる要件を満たしていることを証明する書類で、法務局の本局か支局で発行しています。この日本人の結婚要件具備証明書を配偶者の中国の役所に提出する場合には、日本の外務省(領事移住部政策課証明班)の認証を受け、その後中国語に翻訳した文書を在日本中国大使館で認証を受ける必要があります。
(日本の法務局で結婚要件具備証明書を発行→日本国外務省で認証→中国語へ翻訳→中国大使館で認証)
日本で先に婚姻手続きをする場合は、日本人の婚姻要件具備証明書は必要ありませんが、先に中国で婚姻手続きをしようとする場合には、事前に婚姻要件具備証明書を用意して渡航する必要があります。
- 上記証明書の中国語翻訳文
- パスポート
中国人側の必要書類
※事前に管轄の婚姻登記処へ必要書類の確認を行うこと(登記処によって若干異なるため)
- 居民戸口簿
- 居民身分証
- パスポート
その後、日本の市区町村役場に婚姻届(報告的届出)を行い、手続きが完了します。
日本での報告的届出に必要な書類
※事前に結婚届を提出する日本の市区町村役場に必要書類を確認しておくこと
- 婚姻届
- 結婚公証書+日本語翻訳文
- 出生公証書+日本語翻訳文
- 離婚歴がある場合:離婚公証書+日本語翻訳文
実態のある結婚関係を証明するには
配偶者ビザ申請の際には、単なる書類だけでなく、実際の交流を証明する証拠も重要になります。中国での結婚式の写真、親族との交流、家族と一緒に過ごした写真などを残しておくと、入国管理局への提出資料として大きな意味を持ちます。
日本で先に婚姻手続きをする場合
日本で婚姻届を先に提出する場合は、中国人配偶者が「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」などの中長期在留資格を持っていることが前提です。短期滞在ビザで来日中の場合は、在日中国大使館で「婚姻要件具備証明書」が発行されない可能性があるため注意が必要です。(※中国大使館における運用が変更される場合もあるため、事前に当局へ確認することをお勧めします)。
流れとしては、日本での婚姻届が日本の市区町村に受理されたあと、中国大使館に報告的届出をして中国での婚姻を成立させます。
日本の役所に提出する書類
- 婚姻届
- 中国人の婚姻要件具備証明書+日本語翻訳文
- 離婚公証書(中国)および婚姻届受理証明書(該当者のみ)
- 死亡公証書(中国)および死亡届受理証明書(該当者のみ)
- 日本人配偶者の戸籍謄本
- 両者のパスポート
- 本人確認書類(在留カード、運転免許証など)
婚姻要件具備証明書を発行
駐日中国大使館・領事館で、中国人配偶者の婚姻要件具備証明書を発行してもらいます。短期滞在で入国している中国人には結婚要件具備証明書は発行されない場合があります。発行には以下の書類が必要ですが、手続き方法が変わる可能性もあるため、詳しくは事前に大使館に確認してみることが賢明です。
- 旅券
- 居民身分証
- 未婚声明公証書または未再婚声明公証書
- 離婚証または離婚公証書
- 日本人配偶者の身分証明書(運転免許証・住民票など)
婚姻要件具備証明書の日本語訳は、翻訳文の最後に、「①翻訳者の住所、②翻訳者の氏名、③翻訳者の押印」が必要です。なお、翻訳者は翻訳業者や専門家の他、婚姻当事者の本人らでもOKです。
婚姻要件具備証明書は、4-5営業日後くらいに発行されます。
中国での事後的届出(居民戸口簿の変更手続き)
日本の役所に婚姻届が受理された場合、中国でも有効な結婚と認められ、中国で婚姻登記を行う必要がありません(結婚証ももらえません)。しかし、中国で「既婚者」として登録するために、中国の戸籍簿(居民戸口簿)の婚姻状況の欄を「既婚」に変更する必要があります。日本の市区町村で発行された「婚姻受理証明書(+中国語訳文)」を日本国外務省で認証し、中国人配偶者の戸籍所在地の役所に提出する必要があります。
※中国は、外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)締約により、2023年11月7日より、日本が発行する条約範囲内の公文書に対して、条約に基づく付箋(アポスティーユ)を日本で取得することで証明され、中国本土に送付し使用できることとなり、日本および在日中国大使館・総領事館の領事認証が不要となりました。
ただし、提出先国がハーグ条約(認証不要条約)の締約国であっても、領事認証が必要となり、公印確認を求められる場合がありますので、事前に提出先または日本にある提出先国の大使館、(総)領事館にご確認ください。
中華人民共和国駐日本国大使館サイト:
https://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/lszc/LSZJRZRY/202310/t20231024_11167061.htm
中国での事後的報告の流れ
- 日本の市区町村役場で「婚姻受理証明書」を取得
- 日本国外務省で「婚姻受理証明書」の認証を受ける
- 中国大使館でも日本国外務省で認証を受けた書類の認証を受ける
- 中国人配偶者の戸籍所在地の戸籍簿所管の役場(婚姻登記所ではない)へ提出
(指定の翻訳業者の有無や提出方法を事前に中国の役場に確認すること)
チームメンバー
村山 朝美(Tomomi Murayama)
行政書士
福島県出身。国際結婚・配偶者ビザを専門とする女性行政書士。
丁寧なヒアリングと読みやすい書面づくりが強み。ネコ好き。最適な配偶者ビザのプランをご提案します。
*当事務所では女性行政書士の指名が可能です。女性ならではのご相談も承ります。
村井 将一(Masakazu Murai)
代表社員
行政書士・証券アナリスト・CFP
証券会社の投資銀行部門で企業の資金調達やM&A、事業承継などのアドバイスを行う。
配偶者ビザのほか、外国人の起業支援(著書:「外国人起業支援ハンドブック(日本法令)」)や高度専門職ポイントなどの複雑な手続きが得意。至誠一貫。休日の楽しみは、散歩、ディカプリオ映画。
外国人の皆さまへ
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