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費用も掛かるので在留資格申請を自分でしようと思っています。自己申請した場合のリスクはありますか?

自己申請した場合に陥りやすいリスクも多くあるため、それらを踏まえて慎重に準備することをお勧めします。

 

在留資格を自分で申請するリスク(自己申請リスク)

在留資格(VISA)は自分で申請しようと考えている人も多くいます。「友達が自分で申請して許可が出た」「入国管理局のウェブサイトに記載されている書類だけ集めて出すだけと思っている」「専門家に依頼するか自分でやるかは、申請準備と入国管理局に行く手間がかかるかどうかの違いと思っている」人も多いようです。

しかしながら、最近の入管法改正による在留資格の厳格化の流れで、申請した在留資格が不許可になるケースが多く見受けられます。特に偽装留学生が問題化される留学ビザ、特定技能の対象となる業種での就労ビザやインターンシップビザ経営管理ビザ老親扶養(親の呼び寄せ)永住は厳格化しています。それらの不許可事例から自分で在留資格申請をするリスクについて考えてみましょう。

※本稿では自己申請を否定している訳ではありません。法令規則や入国管理局運用に関わる十分な知識や経験、優れた日本語文章作成能力を持ち、明白に要件をクリアしている秀逸な経歴・属性の方は自己申請でもリスクは高くはないはずです。

自己申請のメリットとデメリット
メリット
・専門家への報酬費用が不要になる
デメリット
・専門家よりも不許可となる可能性は高い
・審査に時間がかかる可能性(&準備や調査に膨大な時間と労力がかかる可能性)
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自己申請 専門家を起用
費用
  • かからない(自身の時間単価)
  • かかる(10万円〜)
許可される可能性
  • 専門家よりも低い
    理由
    1)審査のポイントを理解していない
    2)審査官に日本語文書で十分な説明ができていない
    3)審査官から内容の真偽を疑われている
  • 高い
    理由
    1)審査のポイントを十分理解
    2)審査官に理解させるための十分な説明と疎明資料の設定
    3)専門家が申請することにより審査官が安心する
審査期間
  • 専門家より長い傾向
    理由
    1)審査実務で求められる任意疎明書類を提出できない
    2)日本語文章で審査官の理解を得られない
    3)上記の理由による追加資料や追加質問で審査長期化
  • 短い傾向(在留資格の種類や申請内容による)
    理由
    1)審査実務のポイントに沿った疎明資料を予め提出
    2)審査官が早く許可を出せるように予め必要事項を説明
    3)追加資料の要求などが来ないため早く審査が完了

 

 

自己申請の主なリスク
具体的なリスク
・そもそもの制度や要件を誤認するして不許可になるリスク
・審査実務で必要な疎明ができずに不許可になるリスク
・入国管理局から誤解され不許可になるリスク
・心証形成のリスク
・虚偽申請を疑われるリスク
・身元保証人から断られるリスク

 

・そもそもの制度や要件を誤認して不許可になるリスク

不許可事例を見ると、法令やガイドラインなど、そもそもの制度や要件を誤認しており、結果として不許可になっている事案がよく見受けられます。特に特定技能対象業種での就労ビザや経営管理ビザなど複雑な論点を意識する必要のある在留資格の場合、そもそも要件を満たしていないこともあります。また、目安となる収入基準や税金の申告(特に会社経営者とフリーランス)や社会保険の規則、家族の状況も見落としていることも多くあります。

 

・審査実務で必要な疎明ができずに不許可になるリスク

専門家は通常年間100件以上もの様々なケースの在留資格申請を行い多くのケーススタディを蓄積しています。しかし、自己申請の場合、勿論審査対応の経験値がないので審査実務で詳細の説明が要求される事案気付かず予め書類ベースで十分に疎明できずに結果不許可になっている事案も散見されます。

ウェブサイトに記載されている書類だけを機械的に提出している場合に多く見受けられます。実際には審査に通りやすくするために任意に提出する疎明書類があるということを知らないためです。入国管理局は「このような場合には具体的にこの書類を提出すべき」ということは丁寧には教えてくれません。

 

・入国管理局から誤解され不許可になるリスク

法令等の要件を基に日本語の文書で入国管理局へしっかりした説明ができず(=入国管理局を納得させることができず)結果不許可になるリスクです。あまりに下手な日本語の文章だと、何を言っているのかわからず、入国管理局の審査官の誤解を招き不許可になりやすいです。

なお、雇用主企業の経営者などの日本人であっても、しっかりした文章を書ける人は少ないです。普段、1通だけのメールや手紙で、相手が何をしたいのか、何を言いたいかが十分に分からない事も多いですよね?入国管理局には原則1度しか文書で説明できませんので、その一度で入管審査官が納得する説明が日本語の文書で作成できなければいけません。

 

・心証形成リスク

在留資格申請は、人間が審査するので、勿論専門家が出した方がそもそもの心証が良いと言われています。上記のように予め説明を求めたい点の説明が、専門家によって法令規則等を踏まえて合理的になされ、その証拠となる書面も添付されていれば、心証は良いはずです。その逆の場合、感覚的にそもそもの申請内容に疑義が生じ、必要以上厳しめに審査される場合もありえます。(日常生活や仕事でも、書類などを見た時に、多くの場合、一瞬でその人や事象に対するPositive or Nagativeの印象を感じ、それが後の評価に影響することもあるのではないでしょうか?)

また、何か入国管理局が不明に思う点などがあったときに概ね入国管理局から専門家に連絡がきます。自己申請の場合、連絡無く不許可になることも多いです。

 

・虚偽申請を疑われるリスク

虚偽申請を疑われるリスクとは、必要以上に良く見せようと、過去の在留資格の申請などの時に軽い気持ちで記載した内容やとりあえず適当に記載した内容が、今回の申請時の記述内容と異なる場合、そのいずれかが虚偽と看做されて、不許可となるリスクです。この場合、以降しばらくの間は、実質的に入国管理局からは相手にしてもらえない可能性があるため注意が必要です。

 

・身元保証人から断られるリスク

日本人は「保証人にだけはなるな」と教育されている人も多いため、職場の上司や同僚などの日本人に在留資格申請の身元保証人を引き受けてもらう必要がある場合、苦労することも多くあります。身元保証人の候補となる日本人から「確認のため専門家からも一度話を聞きたい」と言われることも多く、自己申請の場合、責任を持って身元保証人候補の方に説明する専門家が居ないので、結果として身元保証人を断られるリスクがあります。特に職場の上司や大切な知人・友人には、何度も頼めないので、慎重にお願いの準備をする必要もあります。

 

※当事務所の平均的な事例での実績です。在留資格許可や審査期間等について保証するものではありません。

この記事を書いた人

村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。

在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。

入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員

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