永住権・永住ビザ申請:交通違反履歴がある場合
過去に何度か交通違反をしてしまいました。永住許可申請に不利な影響はありますか?
交通違反の種類や違反回数によっては、永住審査の不許可理由になる可能性もあります。永住申請に関わらず注意して下さい。
永住審査と交通違反の関係
永住審査では「①日本国の法令に違反して、懲役・禁錮・罰金に課されたことがないこと」と「②日常生活・社会生活で違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないこと」が確認されます。
交通事故・違反をした場合は、懲役や罰金刑が課される重い罪(刑事罰)と、反則金で済む違反(行政刑罰)に分けれます。
① 日本国の法令に違反して、懲役・禁錮・罰金に課されたことがないこと
永住審査では、日本の法令に違反して懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に課されたことがないことが要件になります。ただし、懲役と禁錮の場合は、刑務所から出所後10年を経過(執行猶予がついている場合は猶予期間が満了してから5年が経過)、罰金・拘留・科料の場合は、罰金支払い等を終えてから5年経過していれば、日本国の法令に違反して処罰されたものとは扱わないことになります。また、少年法による保護処分が継続中でないことが必要です。
罰金(もしくは懲役)を伴う重大な交通違反を犯してしまったときは「告知書」(通称:赤切符)が当事者に渡されます。赤切符を切られる場合、罰金か懲役かの刑事罰となるため当事者には”前科”が付きます。裁判において懲役刑・罰金刑のどちらかが確定され、罰金刑の場合、罰金の納付命令を受けます。罰金は違反内容によって上限は定められていますが金額は決まっておらず、裁判所により決定されます。
例えば、危険運転致死・酒酔い運転・麻薬等運転・無免許運転・悪質なスピード違反(一般道で30km以上、高速道で40km以上のスピード違反、交通反則通告制度の対象外となるもの)などが対象となります。
危険運転致死・酒酔い運転・麻薬等運転・無免許運転・悪質なスピード違反など
②日常生活・社会生活で違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないこと
こちらは、懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に該当しないような軽微な違反などを繰り返し行っていないことが要件となります。交通違反の反則金や家族滞在ビザで一緒に日本に滞在する家族の週28時間以上の労働、街宣活動などで何度も指摘を受けているような場合が該当します。
交通違反の反則金と永住審査の関係
反則金とは、交通事故・違反の点数制度における6点未満の軽微な交通違反に対して課せられる金銭のことをさします。比較的軽微(6点未満)な交通違反をした場合は、「交通反則通告書」(通称:青キップ)が渡されます。「交通反則通告制度」により、反則金を納付すれば刑事罰にはあたらないため、罰金の支払いは必要ありません。しかし、反則金を納付しない場合などは法に則り、刑事罰として処され罰金刑、懲役刑に移行します。
ただし、交通違反の反則金は、罰金(刑事罰)ではありませんが、何度も繰り返すような場合には、違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていることに該当してしまいす。現時点の審査実務上の交通違反等の目安は、過去5年で5回以下、過去2年で4回以上は難しいようです。例えば、駐車禁止で反則切符を切られたことなどはあまり記憶に残っていないことも多いため、警察署で運転記録証明書を取得して確認することができます。
信号無視・駐停車違反・携帯電話使用・騒音運転・整備不良(雪道のノーマルタイヤ等)など
なお、無免許運転、飲酒運転やひき逃げなどの重い罪(懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に該当)であると、それが一度でも罰金の支払い等を終えてから5年の経過などが必要です。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
【外国人のみなさま】
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