インド人との国際結婚手続きと配偶者ビザ
インド国籍の彼/彼女と国際結婚を考えている日本人です。結婚から配偶者ビザ取得までにどのような手続きが必要になりますか?
日本とインドで結婚手続きを完了させ、日本で配偶者ビザを申請する流れとなります。
インド人との国際結婚手続
日本で日本人の配偶者等の在留資格を取得するためには、日本とインドの双方の国で適法に婚姻が成立している必要があります。
インドで、婚姻のための適齢(新婦18歳、新郎21歳)に達しているほか、お互いに重婚になっていないこと(双方が一夫一婦制)、事理弁識能力があることなどインドの法律上でも障害が無いことが前提となります。
日本とインドのどちらで先に結婚手続きをしたら良いか
国際結婚の手続きはどちらの国からでも始めることで可能です。日本に既に在留しているインド人の方であれば、日本で婚姻届けを提出(創設的届出)するのみで手続きを完結させる場合もありますし、現在インドに住んでいる場合は、インドで先に結婚手続き(創設的届出)をして、その後日本の役所へ報告的届出をする場合もあります。
双方の現在の居住地、結婚手続きの簡便さ、手続きにかかる時間、今後結婚生活を送る国をどちらにするか、などを考慮して検討することになります。
両国での結婚手続きが完了したら、入国管理局へ日本人の配偶者等の在留資格申請をします。配偶者ビザの審査では、婚姻の実態および夫婦の日本における経済能力等について、厳しく審査されることとなります。
(1)日本で結婚手続きを完結する場合
日本の市区町村役場で先に結婚手続きをする場合は、1)インド国内またはインド大使館よりインド人配偶者側の婚姻要件具備証明書(Affidavit)を取得→2)日本の市区町村役場で婚姻届の提出(創設的届出)→3)日本での婚姻が成立したら、駐日インド大使館へ報告的届出を行う、の流れとなります。これで、両国での結婚手続きが完了します。
(STEP1)インドで婚姻要件具備証明書(独身証明書)を取得
インドでは、結婚の前に未婚を証明する必要がないのですが、駐日インド大使館または本国の役所(インドのCourt, District Magistrate (DM) または Sub-Divisional Magistrate (SDM) )で手続きをしてBachelorhood/Single-Status Certificate(婚姻要件具備証明書、独身証明書)を取得することができます。各州によっても名称や様式、取得方法などが異なることがあるようです。
Bachelorhood/Single-Status Certificate(婚姻要件具備証明書、独身証明書)は、インド人が、自分がインドの法律上で結婚の要件を満たしていることを証明する書類です。
インドの婚姻要件具備証明書に相当する書類の取得に必要な書類や方法は随時変更等されますので、事前にインド人側の配偶者を通してインド当局へ確認することになります。
(STEP2)日本の市区町村役場で婚姻届提出
婚姻要件具備証明書を取得したら、これを持って日本の市区町村役場に日本の婚姻届を提出します。市区町村役場への提出書類は、概ね以下の通りですが、提出する市区町村役場によって若干求められる書類やアポスティーユの要否などが異なることがありますので、婚姻届を提出する市区町村役場へ事前に確認が必要です。
インド人側の在留資格(特定活動など)によっては法務局で面談を受ける場合があります。
婚姻届を提出してから1-2週間(市区町村役場によってまちまち)などで、婚姻関係が記載された戸籍謄本を取得することができます。
・婚姻要件具備証明書+日本語翻訳文
・出生証明書+日本語翻訳文
・パスポート
・在留カード(在留資格がある場合)
・その他市区町村役場が指定する書類
日本人側の必要書類
・戸籍謄本
・身分証明書(免許証、旅券等)
・婚姻届(証人2人の書名)
(STEP3)駐日インド大使館に結婚を届出(報告的届出)
日本側で婚姻届が受理されたら、婚姻届受理証明書と戸籍謄本に、日本国外務省からアポスティーユを取得し、英訳を付したものを駐日インド大使館へ提出します。
インド大使館では、結婚登録の前に、インド人側のパスポートを変更する必要があります。インドのパスポートには、「配偶者の名」を記載するページがあり、「配偶者の名」の欄に結婚した日本人の名前を記載します。 Inclusion of Spouse’s name on passportには4-6週間程度かかるようです。
大使館の指定した所定の必要書類を提出し、30日以上の公告期間を経て結婚が登録されます。
登録がされたら、新郎新婦と証人3人が駐日インド大使館に出頭し、書類への署名します。
その後、インドの結婚証明書が発行されます。
インドの結婚証明書が入手できるまでは、原則、配偶者ビザを申請できません。
・Notice of Marriage
・Declaration to be made by the Bride and Bridegroom
・Marriage Registration Form
・Passport(夫婦および証人)
・在留カード(在留資格がある場合)
・戸籍謄本(アポスティーユ、英訳)
・婚姻届受理証明書(同上)
・離婚証明書その他該当する書類(If any)
(あわせて読みたい)【最新版】国際結婚の手続きと配偶者ビザ取得の流れ
(2)インドで先に結婚手続きをする場合
インドで先に結婚手続きをする場合は、原則、宗教婚法または特別婚姻法(Special Marriage Act、非宗教婚)に基づき婚姻手続きを行うことになります。
(ヒンズー教徒などでは無い日本人が含まれるカップルが)特別婚姻法に基づく場合、1)インド結婚登録所の結婚担当官にnotice of marriageを行い一定の公告期間を経て、法律上の結婚式を行い、結婚証明書に当事者らが署名します。その後婚姻証明書が発行されます。→2)インドの結婚証明書が発行されたら、在インド日本大使館/領事館または市区町村役場へ報告的届出→一定期間経過後日本の戸籍謄本に婚姻が反映、の流れとなります。これで、両国での結婚手続きが完了します。
(STEP1)インドの結婚登記所で結婚手続きを行う
原則、日本人が適法に結婚をできる状態であることを示すために、在インド日本公館発行の婚姻要件具備証明書(身分上の事項が戸籍謄(抄)本に記載されていることを証明するもの、英文で発行)が求められます。また、その他に日本人側で必要な書類が指定される場合がありますので、結婚手続きを行う役所に確認が必要です。婚姻要件具備証明書は、インドにある日本大使館/領事館で取得可能です。
インド結婚登録所の結婚担当官にnotice of marriageを行い30日の公告期間を経て、法律上の結婚式を行い、結婚証明書に当事者らが署名します。その後婚姻証明書が発行されます。
なお、管轄の婚姻担当官によって、または随時、手続きの運用が変更される場合がありますので、予め申請する予定の役所に確認することをお勧めします。各州によっても様式などが異なるようです。
・notice of marriage
・出生証明書(インド人および日本人)
・住所証明書(インド人および日本人)
・有効なパスポート
・日本人の有効なインドビザ
・日本人の婚姻要件具備証明書
・その他担当官から要求された書類
(STEP2)日本の在外公館または市区町村役場への報告的届出
インドで結婚証明書が取得できるようになったら、日本の大使館または市区町村役場へ婚姻届を提出します。日本国への報告的婚姻届出は、在外公館と市区町村役場のどちらでも可能です。日本人の配偶者等の在留資格を申請する場合、婚姻が反映された戸籍謄本を提出する必要があるため、在留資格の申請を急ぎたい場合は、市区町村役場のほうが早く戸籍謄本に反映されるため、在留資格申請を急ぐ場合は、その時間軸に注意が必要です。
婚姻証明書は、裁判所等の公的機関が発行した婚姻証明書が対象とされ、ヒンズー寺院等で発行した宗教婚の証明書は受理出来ないとされていますので、宗教婚の方は注意してください(駐インド大使館)。
市区町村役場では、外国からの郵送や代理人による届出を受付けている場合もあります。ただし、受付ルールが市区町村役場ごとに異なる場合があるので、必ず事前に直接照会することをお勧めします。
・婚姻届
・戸籍謄本
・インドの婚姻証明書+日本語翻訳文
・インドの出生証明書+日本語翻訳文
・パスポート(本人確認書類)+日本語翻訳文
・その他在外公館または市区町村役場等が指定する書面
(あわせて読みたい)【最新版】国際結婚の手続きと配偶者ビザ取得の流れ
ケーススタディ
・インド駐在員の日本帰任
・インド在住の夫婦がそろって日本へ移住
この記事を書いた人
村井将一(むらいまさかず)
CFP・証券アナリスト・行政書士
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。
専門は配偶者ビザをはじめとする外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
休日の楽しみは、アイドル現場、散歩、夜ホッピーを飲みながら映画を見ること。ネコたちと遊ぶこと。
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