配偶者ビザ申請の質問書:具体的な書き方と審査の注意点
配偶者ビザ・結婚ビザ・パートナービザの審査で質問書が重要と聞きましたが、具体的にどのように書いていけばよいでしょうか?
質問書は入国管理局が結婚の真実性を判断するための書類です。可能な限り明確かつその証拠も交えて説明していきます。
質問書の目的
配偶者ビザ・結婚ビザ・パートナービザ(日本人の配偶者等の在留資格)を申請する際には、必ず入国管理局が用意している「質問書」に回答を記載し提出することになります。この質問書の目的は、外国人の方に配偶者ビザを許可するにあたり、主にはその結婚が真正なものかどうか、を当局が確認するためのものです。
日本人及び配偶者となる外国人の夫婦からすると「真摯な結婚であることは明白であり、他人がプライバシーに立ち入って、自分たちの結婚についてとやかく言われる筋合いのものではない」と感じるかもしれません。
しかしながら、日本人が絡む国際結婚は、依然として、経済大国の日本への不法就労や在留資格取得の手口として、悪質な業者や個人に利用されています。配偶者ビザを取得した途端に、または、配偶者として永住許可を受けた途端に、若い外国人の配偶者に蒸発されたなどと日本人側の配偶者から当局が相談や通報を受けるケースも頻繁にあるようです。
そこで当局は、この質問書をもとに、結婚が真正なものかどうかを確認することとしています。外形的な点から判断するしかないため、この質問書への記載内容や客観的に見た情況によっては、真摯な婚姻関係にあると認められず、配偶者ビザが不許可になってしまうという、重要な位置づけの書類でもあります。
質問書の書き方
質問書には、質問形式で、結婚式の有無や日常的にコミュニケーションを行う言語、紹介者の有無などに答えていく形式もののと、結婚に至った経緯などを自由記述式で記入していくものがあります。
自由記述式で答える結婚の経緯は、説明に関連する写真や国際電話、LINEなどのSNSでのコミュニケーション履歴などを添付しながら疎明していくことになるため重要です。過去に偽装結婚事件が多かった国の出身者、年齢差の大きい夫婦、マッチングアプリ・結婚紹介業者で知り合った夫婦、交際期間が短い場合、離婚歴が多い場合など、は通常よりも厳しく審査される傾向にあるため、別紙を添付するなどで、必要な情報を十分に説明することをお勧めしています。
なお、質問書の最後のページには「事実に反する記述をした場合は、不許可になる場合や虚偽申請等として罪に問われる場合がある」として署名が日本人側の配偶者の署名が求められるものですので、必ず正しい事実を記載してください。
・日にちなど具体的な数字を用いる(日にち、回数 ※適当に書かないこと!)
・本人が言っているだけではない客観的事実を用いる(家族と会食、結婚披露宴など)
・事実に反する記載をすると、罪に問われる場合も(決して嘘は書かないこと!)
質問書の裏付け
質問書は、日本人側の配偶者が記述しているだけであるため、それを裏付ける証拠書類の提出が必要です。また、上記のように厳しく審査されるシチュエーションでは、当局から、通常よりも詳細な裏付けの書類の提出を求められる事もありますので、できる限り在留資格審査の時間を短くしたい場合は、任意の書類も予め提出するなどで、積極的に立証していくことを推奨しています。
証拠書類とは、交際を証明するための、通話履歴、渡航履歴、写真や、結婚後の日本での就業状況や新居が確保されていることなど示す書類などです。その他にも、日本での滞在費用を証明する資料として、別途、課税証明書、納税証明書、預金通帳の写し、なども提出することとなります。この証明書類は個々人によって異なってくるほか、そのシチュエーションによってトーン(内容のレベル感)も変わってきます。
特に追加で書類の徴求もされなかったのに、「書類・申請の内容に疑義あり、良く分からなかった」などが理由で不許可となる場合もありますので、質問書の記載とともに、注意したいところです。
この記事を書いた人
村井将一(むらいまさかず)
CFP・証券アナリスト・行政書士
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。
専門は配偶者ビザをはじめとする外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
休日の楽しみは、アイドル現場、散歩、夜ホッピーを飲みながら映画を見ること。ネコたちと遊ぶこと。
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