永住申請に係る理由書の注意点
日本語が得意でなく永住申請の理由書を書くことに自信がありません。どうすればよいでしょうか?
理由書は、日本語だけでなく法令等に基づき申請内容の事情などを説明する重要な書類です。難しい場合は専門家に相談する事をお勧めします。
永住申請の理由書とは
永住申請では理由書の提出が求められています。入国管理局ウェブサイトでは、理由書は「永住許可を必要とする理由について,自由な形式で書いて下さい。日本語以外で記載する場合は,翻訳文が必要です。」とされています。理由書の目的は、永住許可を必要とする理由及び、永住要件を満たしていることについて、提出した書類のみでは理解しずらい申請内容の背景や事情などを補足し、審査官に正しく理解してもらうことです。審査官が審査する際の心証形成にも影響し得ます。
○永住許可を必要とする理由を明確にすること
○永住要件を満たしていることについて、提出した書類のみでは理解しずらい申請内容の背景や事情などを補足すること(審査において誤解を避けるため)
しかしながら、特に外国人本人申請の場合、インターネットや書籍などの理由書のテンプレートなどを、そのまま使用して理由書を提出しているケースが散見されます。同じ理由書を使い回す事には不許可リスクがありますので注意が必要です。入管当局において人それぞれの状況が異なるにも関わらず「理由書の内容が皆同じ」であることは問題視されており、申請内容の信憑性を逆に疑われる可能性があることに加え、その申請人のケースで予め申述しておくべき必要な情報が抜けており、その事が不利益になる可能性もあるためです。入国管理局ウェブサイトに記載されている申請書類一式だけを提出しても、審査官が理解できない場合は、追加の説明や資料の徴求をすることなく「申請内容に疑義あり」として不許可とされることも多くあります。
審査官の心証形成による審査への影響については、色々な意見や考え方がありますが、当事務所では、人間が審査を行う以上は、心証は重要な要素であると考えています。私たちの仕事や私生活の場面でも「ひと目見たときの第一印象が悪い(良い)場合」、いわゆる情状酌量の余地や、その後の最終判断を決する際にも影響があることも多いと感じます。
理由書の内容
理由書の内容は、①永住要件を満たしていることの説明、②申請内容及び添付書類について予め補足しておくべきことの説明、③永住申請する理由、に大別しています。
①在留状況が永住要件を満たしていることの説明
②申請内容及び添付書類について予め補足しておくべきことの説明
③永住申請する理由
①入管法令・永住ガイドライン・審査要綱などを踏まえて永住要件を満たしていることの説明を簡潔に述べ、②提出した書類のみでは理解しずらい申請内容の背景や事情などを補足すること、③永住申請する理由を簡潔合理的に述べることが目的です。永住申請理由は、現在有する在留資格の活動内容やその人の思想や人生観などを踏まえて人それぞれに異なりますので、画一的なフォーマットと同じ内容はあまり望ましい事ではありません。
ところで、日本語の文章を書くことが難しい方は注意してください。外国人が書いた母国語の文書を読んだことのある人は感覚的に分かると思いますが、言葉の使い方に間違いの多い文章は、ネイティブの読み手からすると誤解も生じやすく、かつ、記載内容も疑わしく感じるものです。したがって、日本語が得意でない方は英語や中国語などの母国語で原文を書き起こして翻訳をするか、専門家などに日本語で代筆してもらうことをお勧めします。
(併せて読みたい:永住を自分で申請するリスク・自己申請するリスク)
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
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