日本人と中国人が離婚する場合

日本人の配偶者と離婚した中国人ですが、日本にこのまま在留し続けることは可能ですか?

離婚後も日本に滞在を希望する場合は、「日本人の配偶者等」から他の在留資格への変更申請が必要です。たとえば「定住者」や「就労ビザ」などの資格が考えられます。
日本人と中国人の離婚に関する法律
日本人と中国人夫婦が離婚する場合、「どの国の法律を適用するか(準拠法)」が重要になります。日本では、法の適用に関する通則法第27条により、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であれば、日本の法律(日本法)が適用されます。
「常居所地」とは、主に居住している場所を指します。日本人配偶者が日本に住民登録をしている場合は、原則として日本に常居所があると見なされ、日本法が適用されます。特に日本で暮らしている夫婦であれば、離婚手続きも日本の法律に基づいて行うことになります。
ただし、日本人がすでに海外に出国しているケースでは、出国からの期間によっては日本が常居所とは認められない場合もあるため、慎重な確認が必要です。
日本及び中国での離婚の方法
日本法が準拠法となる場合は、日本の法律が適用されるので、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚による方法が可能です。中国の中国婚姻法でも協議離婚(中国婚姻法31条)、調停離婚が認められています(同32条)、裁判離婚が認められています。中国人の配偶者(妻または夫)と連絡がとれない場合など、相手方の所在が不明の場合は、調停を申し立てずに裁判離婚が可能な場合があります。国や地域によっては、協議離婚を認めていないなどもあり得ますので、日本人と外国人との離婚の手続きについては注意が必要です。
離婚後に必要な中国側への手続き
日本国内で離婚が成立した場合、中国人配偶者が中国の戸籍に離婚の事実を反映させるためには、以下の手続きが必要です。
- 市区町村役場で離婚届を提出し、離婚届の受理証明書を取得
- その離婚届の受理証明書を日本の外務省で公印確認
- 続いて、在日本中国大使館・領事館で領事認証
- その日中双方の当局で認証された離婚届の受理証明書を中国人側の管轄の公安局などに提出し、戸口簿(戸籍)を「己婚」から「離婚」へステータス変更
公安局などの官公署への届出については、本人出頭が必要か、家族による代理提出が可能かなど、各地域の行政機関に事前確認を行うことが推奨されます。原則は手続き完了後、離婚公証書の取得が可能になります。
離婚後の在留資格について
「日本人の配偶者等」の在留資格は、婚姻関係が終了すると継続できなくなります。そのため、離婚後も日本での生活を希望する場合は、在留資格の変更申請を行う必要があります。
主な選択肢としては以下のような在留資格が考えられます:
早めの手続きが重要です。離婚成立後、14日以内に在留資格に関する変更届出も必要になります。
参考リンク:台湾籍の方のケースはこちら
この記事を書いた人
村井将一(むらいまさかず)
CFP・証券アナリスト・行政書士
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。
専門は配偶者ビザをはじめとする外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
休日の楽しみは、アイドル現場、散歩、夜ホッピーを飲みながら映画を見ること。ネコたちと遊ぶこと。
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