日本人と中国人が離婚する場合
配偶者である日本人と離婚をする中国人(在留資格は日本人の配偶者等)です。離婚をした場合、このまま日本に滞在できますか?
日本人の配偶者等の在留資格から他の在留資格への変更許可を得る必要があります。定住者のほか就労系の在留資格が考えられます。
日本人と中国人の離婚
日本人と中国人が離婚をする場合、離婚の準拠法について、法の適用に関する通則法27条では、「 夫婦の一方が日本に常居所地を有する日本人であるときは、日本法を適用する」と定めています。
夫婦のいずれかが日本人の場合は、「日本に住民登録があれば日本に常居所があるものとする。出国後1年以内でも同様。」としていますので、日本人である配偶者が日本の住民登録をしていれば、常居所地を有する日本人となることになります。したがって、日本に住んでおり日本で離婚手続きをしようとする夫婦のほとんどは、日本法が適用されると思われます。
ただし、「日本人が出国後1年~5年の場合は、原則として日本に常居所があるものとする。ただし、重国籍者が日本以外の国籍国に滞在している場合等は当該国に常居所があるものとする。外国に5年以上滞在している場合は当該国に常居所があるものとする。」とされていますので、現在、日本国外に住んでいる場合は注意が必要です。
日本及び中国での離婚の方法
日本法が準拠法となる場合は、日本の法律が適用されるので、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚による方法が可能です。中国の中国婚姻法でも協議離婚(中国婚姻法31条)、調停離婚が認められています(同32条)、裁判離婚が認められています。中国人の配偶者(妻または夫)と連絡がとれない場合など、相手方の所在が不明の場合は、調停を申し立てずに裁判離婚が可能な場合があります。国や地域によっては、協議離婚を認めていないなどもあり得ますので、日本人と外国人との離婚の手続きについては注意が必要です。
中国への離婚の報告(日本で離婚した場合)
日本に暮らす中国人と日本人が離婚した場合は、中国の役所にも離婚の届出をする必要があります。日本での市区町村役場で離婚届を提出したら、市区町村から、離婚届の受理証明書を取得します。その離婚届の受理証明書を日本の外務省で公印確認をしてもらい、さらに在日本中国大使館/領事館で領事認証を行います。
その日中双方の当局で認証された離婚届の受理証明書を中国人側の管轄の公安局などの官公署へ届け出て、戸口簿で「己婚」→「離婚」のステータスに変更してもらう必要があります。中国人本人が役所へ出頭することが必須かどうか(中国在住の親族が代理できるかどうか)は公安局などの管轄の役所へ照会することが必要です。原則は、戸口簿で「己婚」→「離婚」のステータスに変更されると離婚公証書を取得できることとなります。
離婚後の在留資格
中国人が日本人と離婚をした場合、現在の日本人の配偶者等の在留資格は継続することはできません。定住者(いわゆる離婚定住)や技術・人文知識・国際業務、経営管理ビザなどの就労系の在留資格への変更許可を得る必要があります。
ご参考:台湾籍の場合
この記事を書いた人
村井将一(むらいまさかず)
CFP・証券アナリスト・行政書士
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。
専門は配偶者ビザをはじめとする外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
休日の楽しみは、アイドル現場、散歩、夜ホッピーを飲みながら映画を見ること。ネコたちと遊ぶこと。
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