IT資格保有者が永住権申請で受けられる優遇措置
日本や海外のIT資格を持つIT技術者は永住権・永住ビザの申請に有利と聞きました。どのような優遇措置があるのでしょうか?
日本国が認めるIT資格(IT告示)は、高度専門職ポイントの加点がされ、日本在留最短1年で永住申請できる可能性があります。
永住権・永住ビザの申請に有利なIT資格
永住申請の際、高度専門職ポイント制度を活用することで、日本国内での滞在期間が短縮されます。具体的には、70点以上で3年、80点以上で1年の滞在を経て、永住申請が可能です。IT資格保有者は、IT告示に基づく資格を持っていると、ポイントが最大10点(1資格で5点、複数で10点)加算されます。この加点により、永住権申請の基準に達しやすくなり、特に収入や職歴、日本語能力が足りない場合に補完的な役割を果たします。
日本政府がIT技術者に対してこのような優遇措置を設けているのは、IT分野での高度なスキルを持つ人材を積極的に受け入れるためです。なお、AWSやMicrosoft(Azure)、CISCOなどの民間資格はこの制度に該当しないため、注意が必要です。
(併せて読みたい:高度専門職ポイントを利用した永住申請)
従事しようとする業務に関連する日本の国家資格(業務独占資格又は名称独占資格)を保有,又はIT告示に定める試験に合格し若しくは資格を保有
1つ:5点加点
複数:10点加点
日本とアジア諸国のIT資格相互認証制度
日本の**情報処理推進機構(IPA)**は、アジア12カ国(インド、シンガポール、韓国、中国、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマー、マレーシア、台湾、モンゴル、バングラデシュ)とIT資格の相互認証を行っています。これにより、海外のIT資格を持つ人材も日本でそのまま資格を活用できるため、永住権申請において有利な立場を得られます。
高度専門職ポイントを活用した永住申請を検討している方は、まず自分のIT資格が該当するかどうかを確認し、点数計算を行うことをお勧めします。IT資格の加点が、あなたの永住権取得への道を大きく後押しします。
高度人材ポイントの対象になる「日本」のIT試験
イ 情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)に基づき経済産業大臣が実施する情報処理安全確保支援士試験
ロ 情報処理の促進に関する法律に基づき経済産業大臣が実施する情報処理技術者試験のうち次に掲げるもの
ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験
プロジェクトマネージャ試験
ネットワークスペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
ITサービスマネージャ試験
システム監査技術者試験
応用情報技術者試験
基本情報技術者試験
情報セキュリティマネジメント試験
ハ 通商産業大臣又は経済産業大臣が実施した情報処理技術者試験で次に掲げるもの
第一種情報処理技術者認定試験
第二種情報処理技術者認定試験
第一種情報処理技術者試験
第二種情報処理技術者試験
特種情報処理技術者試験
情報処理システム監査技術者試験
オンライン情報処理技術者試験
ネットワークスペシャリスト試験
システム運用管理エンジニア試験
プロダクションエンジニア試験
データベーススペシャリスト試験
マイコン応用システムエンジニア試験
システムアナリスト試験
システム監査技術者試験
アプリケーションエンジニア試験
プロジェクトマネージャ試験
上級システムアドミニストレータ試験
ソフトウェア開発技術者試験
テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験
テクニカルエンジニア(データベース)試験
テクニカルエンジニア(システム管理)試験
テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験
テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験
情報セキュリティアドミニストレータ試験
情報セキュリティスペシャリスト試験
「中国」のIT試験
イ 中国工業和信息化部教育与考試中心が実施する試験のうち次に掲げるもの
系統分析師(システム・アナリスト)
信息系統項目管理師(インフォメーション・システム・プロジェクト・マネージャ)
系統架構設計師(システム・アーキテクト)
軟件設計師(ソフトウェア設計エンジニア)
網絡工程師(ネットワーク・エンジニア)
数据庫系統工程師(データベース・システム・エンジニア)
程序員(プログラマ)
ロ 中国信息産業部電子教育中心又は中国工業和信息化部電子教育与考試中心が実施した試験のうち次に掲げるもの
系統分析員(システム・アナリスト)
高級程序員(ソフトウェア・エンジニア)
系統分析師(システム・アナリスト)
軟件設計師(ソフトウェア設計エンジニア)
網絡工程師(ネットワーク・エンジニア)
数据庫系統工程師(データベース・システム・エンジニア)
程序員(プログラマ)
「韓国」における韓国産業人力公団が認定する資格
イ 情報処理技師(エンジニア・インフォメーション・プロセシング)
ロ 情報処理産業技師(インダストリアル・エンジニア・インフォメーション・プロセシング)
「台湾」財団法人資訊工業策進会(III)が実施した試験
イ 軟体設計専業人員(ソフトウェア・デザイン・アンド・ディベロップメント・IT・エキスパート)試験
ロ 網路通訊専業人員(ネットワーク・コミュニケーション・IT・エキスパート)試験
ハ 資訊安全管理専業人員(インフォメーション・システム・セキュリティー・IT・エキスパート)試験
「フィリピン」における試験
イ フィリピン国家情報技術標準財団(PhilNITS)が実施する試験のうち次に掲げるもの
基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ フィリピン・日本情報技術標準試験財団(JITSE Phil)が実施した基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
「ベトナム」における試験
イ ベトナム訓練試験センター(VITEC)が実施する試験のうち次に掲げるもの
基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ ベトナム情報技術試験訓練支援センター(VITEC)又はベトナム訓練試験センター(VITEC)が実施した試験のうち次に掲げるもの
基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ソフトウェア開発技術者(ソフトウェア・デザイン・アンド・ディベロップメント・エンジニア)試験
応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ミャンマーコンピュータ連盟(MCF)が実施する試験
イ 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
「マレーシア」におけるマルチメディア技術促進本部(METEOR)が実施する基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・プロフェッショナル)試験
マルチメディア技術促進本部(METEOR)が実施する基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・プロフェッショナル)試験
「タイ」における試験
イ 国立科学技術開発庁(NSTDA)が実施する試験のうち次に掲げるもの
基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ 国立電子コンピュータ技術センター(NECTEC)が実施した基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
モンゴル国立ITパーク(NITP)が実施する試験
イ 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
バングラデシュコンピュータ評議会(BCC)が実施する試験
イ 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
シンガポールコンピューターソサイエティ(SCS)が認定するサーティファイド・IT・プロジェクト・マネージャ(CITPM)
シンガポールコンピューターソサイエティ(SCS)が認定するサーティファイド・IT・プロジェクト・マネージャ(CITPM)
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員