永住申請:了解書の目的と永住許可が取り消しになる場合は
永住申請で提出する「了解書」とは?どのような場合に永住許可が取り消されるますか?
転職や離婚など申請内容に変更があった場合、速やかに入国管理局へ報告をしないと永住許可が取消されえます。
了解書(永住申請用)の内容
了解書の内容は、永住申請後に、勤務先の退職や転職、配偶者との離婚や別居をしたなど、申請した内容に変更があった場合に、速やかに永住申請をした入国管理局へ連絡(報告)をすることを了解し、そして、事情の変更について連絡しないまま永住許可を受けたことが判明した場合は、永住許可が取り消しになることを、あわせて了解するものです。
・永住申請後、永住申請の内容に変更あったら入国管理局へ報告すること
・報告しなかった場合、永住許可が取り消されること
永住申請後、審査結果を受領するまでの間に、勤務先の退職、転職などの就労状況、配偶者と離婚、同居家族と別居することになった、新たに誰かと同居することになった場合などの家族状況、税金や年金の支払いなどの公的義務履行の状況、公的扶助を受けることになったなどの経済状況、などに一定の変化が生じた場合に、入国管理局に報告するというものです。
・就労状況に変更があった場合
(例:勤務先を退職したり退職した場合)
・家族状況に変更があった場合
(例:配偶者と離婚、同居家族と別居することになった、新たに誰かと同居することになった)
・税金,年金保険料及び医療保険料の納付状況について,申請時点から変更が生じた場合(滞納した場合等)
・生活保護等の公的扶助を受けることとなった場合
・刑罰法令違反により刑が確定した場合
かねてより、例えば、永住申請後に、実質的に日本人の配偶者との婚姻関係が破綻しており、永住許可と同時に離婚する(または配偶者に蒸発される)などの事象が問題になっていました。実質的な婚姻が継続していない場合は、日本人の配偶者等→永住許可の要件を満たすことができませんので、本来は永住は許可されないこととなります。
また、永住申請後に無職になった場合や転職をした場合は、生計の安定性に疑義が生じる可能性があるほか、高度専門職ポイントを利用している場合は前提となるポイントの点数が変わってくることがあります。そのため、永住審査への影響を恐れたなどで、退職や転職についての所属機関の届出などをしない場合も散見され(申請人が申告しなくとも雇用主が提出する雇用保険の届出などでも当局に露見します)、この場合も、生計状態の悪化や入管法の届出義務を適切に履行していないことなどから、本来であれば永住許可はなされない場合がありました。
このような永住審査上の問題点を解消していくため、上記の事象について状況の変化があった場合は、申請した入国管理局への連絡をする旨を承知させる「了解書」の提出を求めるようになったと考えられます。なお、了解書に署名をして提出するようになったので、事情の変更があったのに永住許可が出た場合は、従前よりも後日永住許可を取り消されることがより厳しく運用される可能性があります。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
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