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永住ビザ(日本での永住権)を取得したい!かんたん解説。

日本での永住権の取得を考える

永住権とは、もともと持っている母国の国籍のまま日本に住み続けることができる権利です。永住許可は、日本に一定期間以上住んでいる外国人が日本への永住申請をした場合に「法務大臣」が「許可」か「不許可」の決定をします。そのため、永住権が許可されるためには厳しい条件をクリアできなければなりません。
本項では、永住権の取得を考えている外国人のために、永住権の条件や注意すべき点について、できるかぎり分かりやすく書いていきます。

永住権取得のメリットとデメリット

永住権取得のメリットは、大きくは、1)母国の国籍を維持しながら、2)在留活動の制限がなくなり、3)在留期間も無期限になり、4)配偶者や子供の永住申請も有利になると言うことがあげられます。

永住権の取得により、在留活動の制限がなくなり、どのような職種の仕事にも就けるようになります。例えば、技術・人文知識・国際業務ビザでITエンジニアとして働いていた人は、これまでは入国管理局に認められた職務内容の範囲でエンジニア関連の仕事しかすることができなかったのに対して、永住権取得後は、在留資格(ビザ)の変更無しでイタリア料理店を「独立開業」することもできます。もちろん、働くことのできる職種に制限がなくなりますので、単純労働と言われる職種や風俗関連の営業にも適法な限り従事することができます。

また、在留期間が無期限になりますので、在留資格の更新手続きが不要になり、かつ、住宅ローンや事業資金など銀行からお金を借りることが格段に有利になります(銀行によっては永住者でないとお金を貸さない銀行もあります)。
さらに、配偶者や子供も本人の永住権取得により「永住者の配偶者等」となり、永住権を取得しやすくなります(詳細は後述します)。

「永住と帰化と何が違うのか?」という声が多く聞かれますが、簡単にいうと、帰化のように日本国籍を取得するわけでは無いので、日本人としての選挙権や被選挙権が得られるわけではなく、公務員への就任の制限がなくなることもありませんが、一方で、母国の国籍は維持したまま、日本で原則無期限に活動の制限なく暮らせるというところが帰化との相違点です。なお、引き続き、外国人としての扱いになりますので、犯罪行為などを犯した場合などには退去強制の対象となります(永住者の在留資格は取り消し)

永住権取得の要件

永住権を取得するための実務上の要件は以下の4つの項目です。

①素行が善良であること(素行要件)
②独立生計を営む資産や技能があること(独立生計要件)
③その者の永住が日本の利益となること(国益適合条件)
④身元保証人の確保

ただし、日本人・永住者(特別永住者)の配偶者と子供の場合には、永住権許可の要件が緩和され、③国益適合条件と④身元保証人の確保、で足りることになります。なお、「子」は実子・普通養子・特別養子を含みます。

(1)素行要件:素行が善良であること
日本国の法令に違反して、懲役・禁錮・罰金に課されたことがないこと

日本の法令に違反して懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に課されたことがないことが要件になります。ただし、懲役と禁錮の場合は、刑務所から出所後10年を経過(執行猶予がついている場合は猶予期間が満了してから5年が経過)、罰金・拘留・科料の場合は、罰金支払い等を終えてから5年経過していれば、日本国の法令に違反して処罰されたものとは扱わないことになります。また、少年法による保護処分が継続中でないことが必要です。

日常生活・社会生活で違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていないこと

こちらは、懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に該当しないような軽微な違反などを繰り返し行っていないことが要件となります。交通違反の反則金や家族滞在ビザで一緒に日本に滞在する家族の週28時間以上の労働、街宣活動などで何度も指摘を受けているような場合が該当します。

(交通違反)

交通違反の反則金は罰金ではありませんが、何度も繰り返すような場合には、違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていることに該当してしまいす。現時点の審査実務上の交通違反等の目安は、過去5年で5回以下、過去2年で4回以上は難しいようです。例えば、駐車禁止で反則切符を切られたことなどはあまり記憶に残っていないことも多いため、警察署で運転記録証明書を取得して確認することができます。

なお、無免許運転、飲酒運転やひき逃げなどの重い罪(懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に該当)であると一度でも罰金の支払い等を終えてから5年の経過などが必要です。

(一緒に滞在する家族のオーバーワークに注意)

家族滞在ビザで在留する家族がいる場合、その家族滞在ビザを持っている配偶者や子供が、資格外活動許可で認められた週28時間以上働いていた場合には、外国人本人も違法行為や風紀を乱す行為とみなされます。その場合は、適正な勤務時間に改めてから3年間経過が必要です。

(2)独立生計要件:独立の生計を営むに足りる資産や技能があること

入国管理局では「日常生活において公共の負担になっておらず、その有する資産または技能等から見て将来において安定し生活が見込まれること」としています。公共の負担になっていないということですので、生活保護などは受けていないという前提です。

また、独立の生計を営むに足りる資産や技能という点の収入の目線では、過去3年間連続して300万円以上あることが目安になります。こちらは、世帯全体でみていきますので、申請する外国人本人が、専業主婦(夫)で働いていない場合は、配偶者が独立生計要件を満たしていればよいとされています。ただし、扶養する人数によってはもっと多くの収入額を求められることもあります。

(転職した場合)

転職した場合は、転職直後は勤続の安定性の観点から不許可となる可能性があるため、転職後1年くらいは経過していることが望ましいといえます。

(扶養家族の人数)

扶養する家族がいない場合は、年間300万円の収入が目安になりますが、扶養する家族が一人増えるごとにだいたい年間70〜80万円をプラスして考える必要があります。例えば、男性で妻と子供の2人を扶養しているケースでは、300万円+70〜80万円×2人分で440〜460万円くらいが年収の目安になることになります。

(3)国益適合要件:その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

国益適合要件とは、永住権を申請する外国人の永住が日本国の利益になるかどうかということです。具体的には6つあります。

①原則引き続き10年以上日本に在留し、うち就労資格で5年以上在留していること
(引き続き10年以上日本に在留)

日本に「引き続き10年以上」在留し、このうち就労資格を持って日本で働いていることが必要になります。

「引き続き」とは、日本に住み続けている状態をさしており、現在の入国管理局の実務運用上、概ね3ヶ月以上日本から出国した場合、または、年間で累計100日以上日本から出国していた場合には「引き続き」日本に住んでいたとみなされなくなる可能性が高くなるため、長期出張や本国へ帰省する場合などには注意が必要です。

ただし、形式的にこの期間が経過していたら直ちに「引き続き居住していた期間」がリセットされるわけでなく長期出国の理由・過去の出国期間・日本にある資産の状況(不動産を持っているか)家族の状況(子供が日本の学校に通っているなど)・今後の日本における活動及び生活の計画などを含めて総合的に判断されます。

(うち就労資格で5年以上在留)

就労資格で5年以上働いていることが求められますので、就労が原則認められていない留学ビザ(資格外活動)でアルバイトをしていた時期は除かれます。技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザ、経営管理ビザなど就労が可能な在留期間で5年以上働いていたことが条件になります。

②納税義務等公的義務を守っていること

所得税・住民税・法人税などの税金や、厚生年金・国民年金などの年金が適正に支払われており未納でないことが必要です。さらに、これらは最終的に支払ったかどうかではなく、納付期限を守って支払っているかまで問われます。税金や年金を支払っていない場合、または、支払ってはいても納付期限までに支払っていない場合には不許可になります。したがって、会社員で給料天引きで税金や年金を納めている方であれば問題にはなりづらいですが、フリーランス社員や個人事業主・会社経営者などで個別に税金や年金を収めている方は要注意です。

(納付期限を守って支払いをしていない場合)

もしも、納付期限を守って支払っていない場合は、支払い完了後、永住権申請まで1年間の支払い実績を積み上げることが必要です。そのうえで、納付期限が守れなかった理由と反省、今後の再発防止をするための対策を入国管理局へ説明する必要があります。再発防止の対策としては、銀行口座引き落としやクレジットカードで納付する制度を使うなどが考えられます。

そもそも、国民年金には加入していないという人は、国民年金に加入し、未納部分を支払った上で、向こう1年間の加入実績を残す必要があります。

(適正な扶養状況)

税金の支払いにおいて、税法上適正な範囲の扶養状況である必要があります。本来税法で認められない親族を、税金の支払いを減らす目的で扶養にいれている場合は、適正な納税義務を履行していない(=脱税をしている)として不許可の理由になってしまいますので注意が必要です。

③現に有している在留資格について最長の在留期間をもって在留していること
(実務上は3年以上の在留期間が必要)

現在持っている在留資格で「5年、3年、1年・・・」といった在留期間が定められていると思いますが、その中で最も長い在留期間で在留が許可されている状態を意味しています。ただし、このレポートの執筆時点(2018年10月)では、在留期間3年以上であれば、最長の在留期間として入国管理局で取り扱ってもらえます。

④公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと

こちらは、具体的には、麻薬や大麻、覚醒剤などの中毒者でないことや、エボラ出血熱、ペストなどの感染症に罹患していないことです。

⑤著しく公益を害する行為をするおそれがないと認められること

こちらは、素行要件のところでも審査される点ですが、国益適合要件においても審査されます。内容は、素行要件と同様になります。

(4)身元保証人がいること

永住申請をする場合は、必ず「身元保証人」を用意しなければなりません。永住申請において、身元保証人になれる人は日本人か、外国人の場合は「永住者」の人で、安定的な収入があり、納税をきちんとしている人でなければなりません。

身元保証人の収入の目安としては、概ね300万円以上あれば良いとされています。身元保証人は、しっかりと納税をしていることが求められますが、現時点では納税者本人のように納付期限の遵守までは求められていません。また、社会保険への加入も現在のところ審査はされていないようです。

【身元保証人の責任】

身元保証人の保障の内容は、滞在費・帰国費用・法令遵守の3つです。
入管法上の身元保証人は、道義的責任であり、法律的な責任は負いません。つまり、滞在費と帰国費用を支払う法律的な義務はありませんし、身元保証をした外国人の法律義務違反についても監督責任のような責任は負いません。

ただし、身元保証をした外国人が問題を起こし、その道義的責任を果たせなかった身元保証人は、それ以降は別の外国人の永住申請のための身元保証人になることができなくなります。

身元保証人が見つからない場合、身元保証人を紹介してくれる会社もあるようですが、その場合は、ご自身と関係のない人がいきなり身元保証人になるわけで、紹介会社で身元保証人を用意したことが入国管理局に知られますので、審査上マイナスになる可能性があります。

(ご参考:永住申請の身元保証人を頼むポイント

永住条件が緩和される外国人

ここまで一般的な外国人の永住の要件を見てきましたが、以下のように、日本人・永住者(特別永住者)の配偶者と子供(養子・特別養子含む)は、永住権取得要件の一部が緩和される措置が取られます。

【①素行要件と②独立生計要件が免除される人】

日本人・永住者(特別永住者)の配偶者と子供(普通養子・特別養子を含む)の場合には、永住権許可の要件が緩和され、③国益適合条件と④身元保証人の確保、で足りることになります。

【さらに原則10年の年数が緩和される人】

さらに、以下の条件を満たす人は原則10年の年数が緩和されます。

  1. 日本人・永住者・特別永住者の配偶者は、実態を伴った結婚が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留している場合
    日本人・永住者・特別永住者の実子と特別養子は、1年以上日本に在留している場合
    なお、上記の素行要件と独立生計要件の免除と異なり普通養子は含まれないので注意が必要です。
  2. 定住者(難民認定を受けた人を含む)は、定住者の在留資格で5年以上継続して日本に在留している場合
  3. 高度専門職で3年前から70点以上のポイントを有していたと認められる場合
  4. 高度専門職で1年前から80点以上のポイントを有していたと認められる場合

永住申請の審査期間

永住申請の審査期間は、入国管理局HPでは標準処理期間4ヶ月と記載されていますが、このレポートの執筆時点(2018年10月)では、実際は6ヶ月から10ヶ月程度かかっています。他の在留資格と同様に申請した人の個別の状況や申請時期、申請した入国管理局などによっても異なります。かつては、6ヶ月くらいが最長と言われていた時期もあるので、最近審査期間が伸びているのは、2017年4月法務省令改正で日本版高度人材グリーンカード制度が始まり、申請件数が増加していることなども一因かもしれません。

(※永住申請における必要書類一覧はこちら)

まとめ

「母国の国籍を維持したままに、日本で長期間生活をしていきたい」という外国人の方にとって永住権の取得はとてもメリットの多い在留資格です。その分、永住権取得の審査は厳しく審査期間も長くなります。ただし、しっかりと準備して望めば決して難しいものでもありません。ご不明な点がありましたら遠慮なく私たち専門家にお問い合わせください。

セルフチェックシートを作ったので是非やってみてください。(就労ビザの人日本人の配偶者等の人

この記事を書いた人

村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。

在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。

入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Plannner)
日本証券アナリスト協会検定会員

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