外国人金融人材に対する永住申請等への優遇措置
外国人の金融関係者は永住申請に有利になったと聞きました。どのような優遇措置があるのでしょうか?
投資運用業務等に係る業務に従事する場合、高度専門職ポイントが10P加点され、より有利に永住取得できる可能性があります。
永住申請と外国人金融関係者
日本政府が推進する政策「世界に開かれた国際金融センターの実現」において、外国人の金融関係者を積極的に招聘するため、2021年7月より、金融機関などで投資運用業等に係る業務に従事する外国人(投資運用業等に従事する高度人材)には、高度専門職ポイントが10点が加算されることとなりました。さらに、投資運用業等に従事する高度人材には、家事使用人の雇用要件や在留資格手続きの緩和などの優遇措置が付されることとなりました。
これによって、外国人金融関係者は、日本の高度専門職の在留資格(各種の優遇措置がある)がより取得しやすくなり、かつ、永住許可を申請するうえでも有利になりました。
永住申請では、高度専門職ポイントを利用して永住申請をする場合、最短1年間の日本での在留で永住申請をすることがでる仕組みになっています。具体的には、高度専門職ポイントを計算した時に、70点または80点を超えている場合、日本での滞在期間の要件が緩和されて、3年または1年の日本での在留で永住申請をすることも可能になるものです。
高度専門職ポイントは、年齢、年収、職歴年数、出身校(日本の大学及び大学院出身者は加点)、日本語能力などから構成されていますが、その高度専門職ポイントを計算した時に、少しだけ基準点数に足りない場合などは、投資運用業等に係る業務に従事していれば、70点以上の点数となって、3年または1年の日本での在留で永住申請をできる可能性もあります。
(併せて読みたい:高度専門職ポイントを利用した永住申請)
下記のいずれかの業務に従事していること
・第二種金融商品取引業
・投資助言・代理業
・投資運用業
高度専門職ポイントが加点となる金融関係者
高度専門職1号ロ、高度専門職1号ハの在留資格で、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業または投資運用業に係る業務を行う外国人には、新たに10点の特別加算がなされます。いずれも、主に証券会社、投信会社、アセットマネジメント会社などに勤務する金融関係者の従事する業務が該当します。
一般的に、高度専門職ポイントで80P以上の高得点を取得するためには、職歴年数が少なく、報酬も未だ高くないジュニア・バンカーの場合は、日本語能力(N1)や日本の大学等を卒業していること、などが分水嶺になることが多く見受けられますが、金融人材への加算により、外国の大学等を卒業し、英語しか話すことが出来ない人も70Pまたは80P以上のポイントを取得できる機会が増えるものと思われます。
ご参考:過去のブログ記事
第二種金融商品取引業
第二種金融商品取引業は、集団投資スキーム等の自己募集、みなし有価証券の売買等、市場デリバティブ取引(有価証券を除く)などを指し、主に自己募集のファンドなどが営んでいます。
投資助言・代理業
投資助言・代理業は、投資顧問契約に基づく助言、投資顧問契約や投資一任契約締結の代理・媒介等を指し、主に投資顧問業者(投資助言・代理業者)などが営んでいます。
投資運用業
投資運用業は、投資一任契約等に基づく運用、投資信託等の運用、集団投資スキーム等の運用等を指し、主に投資信託委託業者(運用会社)や投資顧問業者(投資運用業者)などが営んでいます。
これらの疎明資料としては、以下の書類が当局より例示されています。
1 申請人の所属機関の金融商品取引法第28条第2項に規定する第二種金融商品取引業,同条第3項に規定する投資助言・代理業又は同条第4項に規定する投資運用業に係る登録済通知書写し等
2 申請人が上記のいずれかの業務に従事することを説明する資料
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員