【保存版】登録支援機関の登録(特定技能ビザ)
【保存版】日本一わかる登録支援機関の登録
登録支援機関は、特定技能ビザで働く外国人を雇用する企業等(受入機関)との支援委託契約により、特定技能外国人の支援計画(制度上必須の計画)に基づく支援の全部の実施を行います。
特定技能外国人を雇用したいけれども、雇用主が自社では制度上求められる外国人支援ができない場合に、雇用主は登録支援機関へ有償で支援を委託することとなります。
登録支援機関の登録を受けるためには、特定技能外国人からの相談に応じる体制や、登録拒否事由に該当していないことなどが必要で、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。登録の期間は5年間で、更新が必要です。
出入国在留管理庁長官は、登録支援機関に対して、「指導・助言 ・報告又は資料の提出要求 ・登録の取消し」の権限をもち、①外国人への支援を適切に実施、② 出入国在留管理庁への各種届出などを怠ると登録が取り消されることがあります。入管当局が強い監督権限を有しています。
登録支援機関には、技能実習制度の監理団体、人材会社など様々な主体が想定されているところ、要件を満たせば社会保険労務士や行政書士などの士業や個人事業主もなることができます。
他方で、営利事業として成り立つのか、採算が合うのか、ビジネスとしてワークするのかは別途検討すべきところです。
ご参考:登録支援機関のビジネスモデルの考察 本当に儲かるのか?
特定支援機関の登録申請書類(例)
登録支援機関の申請に際しての申請書類は入管庁ウェブサイトに示されています。申請書類一式は、登録支援機関の所在地を管轄する地方入国管理局(出張所は除きます)へ持参又は郵送で提出します。なお、登録支援機関の登録手数料は28,400円となります。行政書士などの代理人(要委任状)による申請も可能です。
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申請書類一覧(法人の場合・例)
- 手数料納付書
- 登録支援機関登録申請書
- 登記事項証明書
- 定款(適宜事業目的を追加)
- 役員の住民票の写し
- 登録支援機関の役員に関する誓約書
- 登録支援機関概要書
- 登録援機関誓約書
- 支援責任者の就任承諾書及び誓約書
- 支援責任者の履歴書
- 支援担当者の就任承諾書及び誓約書
- 支援担当者の履歴書
- 支援委託費用に係る説明書(予定費用)
- 法施行規則第19条の21第3号ニに該当することの説明書
- 法施行規則第19条の21第3号ニに該当することの説明書に係る立証資料
- 返信用封筒
- その他入管が指定する書類
登録支援機関の登録拒否事由を確認する
登録支援機関になろうとする場合、以下の事由に該当すると、登録支援機関の登録が拒否されることになります。自社が登録拒否事由に該当しないかどうかを先ずは確認する必要があります。
(1) 過去5年以内に、禁錮以上の刑に処せられた者、出入国又は労働に関する法律に違反し罰金刑に処せられた者、暴力団関係法令・刑法等に違反し罰金刑に処せられた者、社会保険各法及び労働保険各法において事業主としての義務に違反し罰金刑に処せられた者
当局から関係機関へ前科等の照会が行われます。
(2) 登録支援機関としての登録の取消しを受けた場合、当該取消日から5年を経過しない者(取り消された法人の役員であった者を含む。)
(3) 登録の申請の日前5年以内に,出入国又は労働関係法令に関する不正又は著しく不当な行為(不正行為)を行った者
不正行為とは、例えば、外国人に対する暴行・脅迫・監禁(刑事罰以外も含む)、外国人の旅券又は在留カードの取り上げ、偽変造文書等の行使・提供、保証金の徴収等などがあげられます。
(4) 暴力団員等及びその役員が暴力団員等、暴力団員等がその事業活動を支配する者
(5) 精神の機能の障害により支援業務を適正に行うに当たって必要な認知,判断及び意思疎通を適切に行うことができない者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、法人の役員,未成年の法定代理人で登録拒否事由(第13号及び第14号を除く。)に該当する者
(6) 過去1年間に,登録支援機関になろうとする者が、その者のせいで外国人の行方不明者を発生させている者
登録支援機関が1号特定技能外国人支援計画を適正に実施しない場合や技能実習制度の法令違反や基準に適合しない行為が行われていた期間内に,特定技能外国人の行方不明者を発生させたような場合をいい,行方不明者の人数にかかわらず,行方不明者を1人でも発生させていた場合には,本基準に適合しないこととなります。
(7)支援責任者及び支援担当者が選任されていない
登録支援機関になろうとする者において,役員又は職員の中から支援責任者及び支援業務を行う事務所ごとに1名以上の支援担当者を選任することが必要です。支援責任者が支援担当者を兼ねることとしても差し支えありませんが,その場合には,支援担当者として支援業務を行う事務所に所属することが求められます。
(8) 次のいずれにも該当しない者(中長期在留者の適正な受入れ実績がないこと等による拒否事由)
(ア) 過去2年間に就労できる在留資格をもって在留する中長期在留者の受入れ又は管理を適正に行った実績があり,かつ,役員又は職員の中から,支援責任者及び1名以上の支援担当者が選任されている者
解説: 就労できる在留資格をもって在留する中長期在留者とは
就労できる在留資格をもって在留する中長期在留者には、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者は含みません。また、留学生や家族滞在の人のアルバイト(資格外活動)も含みません。技能実習生の受入、特定活動で働く外国人の受入れ実績は含みます。
解説: 受入れ又は管理を適正に行った実績とは
中長期在留者の外国人に対して賃金の不払いがある場合や、雇用契約の不履行に関し違約金契約を締結している場合などは,入管法及び労働関係法令の規定を遵守しているとは認められず、「管理を適正に行った実績」とは認められません。
また、登録後に支援の受託数が増えれば,適切に支援を行うことができるだけの常勤の支援担当者を置く必要があります。
(イ) 役員又は職員の中から,支援責任者及び1名以上の支援担当者 (過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務 に従事した一定の経験を有する者に限る)が選任されている者
解説: 「生活相談業務に従事した経験」とは
就労できる在留資格をもって在留する中長期在留者に対する法律相談,労働相談及び生活相談など,相談業務全般をいい,相談内容や件数を限定するものではありません。ただし,業務として行われたことが必要であることから,いわゆるボランティアとして行った生活相談については,実績に含まれません。
(該当例)
○人材紹介会社のスタッフが中長期在留者に行う労務・生活相談
○企業の人事部門、監理団体等で中長期外国人の在留資格等の相談業務
→スタッフの所属機関が日本にあり、業としての相談業務が推定し得ること
(該当しない例)
×日本語学校の職員がする”留学生”への生活相談業務
×中長期在留者を含むサークル活動でメンバーに行う労務・生活相談
(ウ) 過去2年間に報酬を得る目的で業として本邦に在留する外国人に関する各種の相談業務に従事した経験を有する者(社労士・行政書士など)
(エ) (ア)から(ウ)までの者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として認められたもの
(9) 情報提供及び相談対応に関し次のいずれかに該当する者(情報提供・相談等の適切な対応体制がないことによる拒否事由
(ア) 適合一号特定技能外国人支援計画に基づき情報提供すべき事項 について特定技能外国人が十分に理解することができる言語により適切に情報提供する体制を有していない者
外国人が十分に理解することができる言語については、必ずしも母国語である必要はなく、内容を余すことなく理解できる言語をいいます。
(イ) 特定技能外国人からの相談に係る対応について、担当の職員を確保し,特定技能外国人が十分に理解することができる言語により適切に対応する体制を有していない者
(ウ) 特定技能外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施することができる体制を有していない者
(10) 支援状況に関する帳簿書類を作成し,1年以上備えて置くこととしていない者
(11) 支援責任者及び支援担当者が次のいずれか(支援担当者にあっては(ア))に該当する者
(ア) 法第19条の26第1項第1号から第11号までのいずれかに該当する者
刑罰を受けてから一定年数経っていない人、暴力団関係者、破産から復権していない人など
(イ) 特定技能所属機関の役員の配偶者,2親等内の親族その他特定技能所属機関の役員と社会生活において密接な関係を有する者
(ウ) 過去5年間に特定技能所属機関の役員又は職員であった者
(12) 一号特定技能外国人支援に要する費用について,直接又は間接に当該外国人に負担させることとしている者
(13) 支援委託契約を締結するに当たり,特定技能所属機関に対し,支援業務に要する費用の額及びその内訳を示すこととしていない者
支援に要する費用の明確性を確保するため、法務省令では、登録支援機関については、特定技能所属機関との間で支援委託契約を締結するに当たり,支援業務に要する費用の額及びその内訳を示さない者については登録を拒否することとしています。
登録支援機関が行う外国人支援の基準
登録支援機関は、支援計画の策定し、以下の基準を満たす必要があります。1号特定技能外国人支援計画は1号特定技能外国人ごとに作成する必要があります。1号特定技能外国人の支援計画は、原則外国人と特定技能雇用契約を締結しようとする受入れ機関(企業等)で作成するものですが、登録支援機関その他の者に支援計画の作成の補助をしてもらうこともできるとされています。
かなり複雑で工数のかかる事柄ですので、実際に自社で運用することが可能かどうかを十分に検討する必要があります。
- 支援計画にア~オを記載すること
ア 支援の内容
○本邦入国前に、本邦で留意すべき事項に関する情報の提供(事前ガイダンス)を実施すること解説: 日本への入国前の事前ガイダンスでは、外国人が十分に理解のできる言語でガイダンスを提供しなければなりません。ガイダンスの内容は細かく決められています。3時間程度が目安とされており、対面のほか、ビデオ通話での方法も認められています。○出入国しようとする飛行場等において外国人の送迎をすること
解説: 入国の際は上陸手続きを受ける空港や港から受入れ機関の事業所または当該外国人の住居までの送迎が求められます。○賃貸借契約の保証人となることその他の適切な住居の確保に係る支援,預貯金口座の開設及び携帯電話の利用に関する契約その他の生活に必要な契約に係る支援をすること
解説: 1号特定技能外国人が希望する物件に関する情報の提供や、不動産仲介業者の紹介を行うほか、必要に応じて当該外国人に同行し,住居の確保の補助を行います。賃貸物件の保証人になること又は保証会社を確保し緊急連絡先になることが求められます。家賃支払いは外国人の負担で構いません。社宅の場合、部屋の広さや賃料などの規定があります。
○外国人が届出等の手続を履行するに当たり,同行等補助をすること
○本邦入国後に,本邦での生活一般に関する事項等に関する情報の提供(生活オリエンテーション)を実施すること解説: 生活オリエンテーションは,1号特定技能外国人が十分に理解することができる
言語により実施することが求められます。なお,実施方法として,テレビ電話や DVD等の動画視聴によるものでも差し支えありませんが,当該外国人からのその内容について質問があった場合に適切に応答できるようにコミュニケーションがとれる体制を整備することが必要です。原則、8時間以上、技能実習2号良好修了者,留学生等を同一機関で引き続き特定技能外国人として雇用するような場合であっても最低4時間以上とされています。オリエンテーション内容は法務省より案内されています。○生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること
解説: 登録支援機関(特定技能所属機関)が日本語教育を実施することまで義務付けるものではなく、地域の日本語教室やオンライン講座の案内や手続きの支援でも構いません。なお、日本語学校等の学費を登録支援機関・会社が負担することは任意です。○相談・苦情対応、助言、指導等を講じること
解説: 相談・苦情窓口として、国・関係機関や支援担当者の連絡先を外国人に、分に理解することができる言語で案内し、必要な手続きを支援する必要があります。したがって、受入れ機関に残業未払い、セクハラ、パワハラ、特定技能契約と反する内容があった場合、外国人は当局へ容易に通報可能になります。
○外国人と日本人との交流の促進に係る支援をすること
解説: 地方公共団体及びボランティア団体等が主催する地域のお祭り,ボランティア活動等の地域住民との交流の場に関する開催等の情報提供や参加手続の補助などを想定しています。○外国人の責めに帰すべき事由によらないで雇用契約を解除される場合において,新しい就職先で活動を行うことができるようにするための支援をすること
○支援責任者又は支援担当者が外国人及びその監督をする立場にある者と定期的な面談を実施し,労働関係法令違反等の問題の発生を知ったときは,その旨を関係行政機関に通報すること解説:「定期的な面談」とは,3か月に1回以上の頻度で面談を行うことを求めています。面談は対面により直接話をする必要があり,テレビ電話等で行うことはできません。当該外国人が十分に理解することができる言語により実施します。
そして、支援責任者又は支援担当者が、その面談で労働法や入管法への法令違反等を知った時には、関係当局へ通報する義務を負います。ここに契約した受入れ機関とのコンフリクトが起こりますが、上記法令の義務に従わない場合は、登録支援機関の登録が取り消される可能性もあります。
イ 登録支援機関に支援を全部委託する場合は,委託契約の内容等
ウ 登録支援機関以外に委託する場合は,委託先や委託契約の内容解説: 特定技能外国人の支援計画の実現可能性を担保するために、企業からの登録支援機関以外への委託が認められます(=広域に事業所が展開する事業者など)。エ 支援責任者及び支援担当者の氏名及び役職名
オ 分野に特有の事項 - 支援計画は,日本語及び外国人が十分理解できる言語により作成し,外国人にその写しを交付しなければならないこと
- 支援の内容が,外国人の適正な在留に資するものであって,かつ,受入れ機関等において適切に実施することができるものであること
- 本邦入国前の情報の提供の実施は,対面又はテレビ電話装置等により実施されること
- 情報の提供の実施,相談・苦情対応等の支援が,外国人が十分理解できる言語で実施されること
- 支援の一部を他者に委託する場合にあっては,委託の範囲が明示されていること
- 分野に特有の基準に適合すること
登録支援機関の届出義務(定期・随時)
登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対し、定期又は随時の各種届出を行う必要があります。四半期ごと(3月31日、6月30日、9月30日、12月31日)に翌四半期の初日から14日以内に支援業務の実施状況等を記載した書類を提出して届出を行わなければ なりません。
(登録支援機関職員による申請取次)
なお、登録支援機関の職員は、在留資格の申請取次が認められたため、支援先の特定技能外国人のビザ申請&更新の申請取次が可能となります。
届出書類
- 登録事項変更に係る届出書
- 支援業務の休止又は廃止に係る届出書
- 支援業務の再開に係る届出書
- (3ヶ月ごと)支援計画の実施状況に関する届出
登録支援機関の審査期間
登録支援機関の登録申請の審査は、登録拒否事由への該当の有無が審査され、概ね2か月とされています。したがって、外国人支援業務を開始する予定日のおおむね2か月前までに申請を行うように求められています。
なお、申請後に別途追加資料等の提出が求められる可能性がありますので、審査期間中の当局対応については当事務所にてアドバイスを行います(有償)。
ご参考:登録支援機関の工数とガバナンス
ご参考:登録支援機関で特定技能外国人を支援する外国人スタッフの雇用
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員
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