【2024年】永住権・永住ビザ許可率の推移:永住審査厳格化
永住権・永住ビザの審査は最近厳格化していると聞きます。実際はどのくらいの割合で許可されていますか?
永住審査の許可の割合は近年低下傾向で、直近公表されている許可の割合(許可/既済)は約5-6割です。
永住権・永住ビザの許可率の推移(許可率は約5割?)
入国管理局では、「永住者の在留資格をもって在留する者は、在留活動に制限はなく、在留期間にも制限がないことから、永住許可に関わる審査はいわば入管としては当該外国人の在留に関する最終の審査になることから適切に行う必要がある(入国管理局審査要領)」として厳格に審査の運用をしています。
法務省が公表している永住審査の既済件数と許可件数をもとに、過去の許可割合(許可の件数/既済の件数)を時系列で見ると、2015年に70%を超えていた永住許可は直近まで低下傾向であり、永住審査厳格化の流れが統計からも見受けられます。なお、最近は、ブレがありますが5-6割前後のレンジで推移していると考えられます。※時期や管轄の入国管理局にもばらつきがあります。
永住ガイドライン改定(2019)により「収入状況の参照期間が拡大されたこと」や「税金納付や年金加入状況等に関連する書類を詳細に求める」ようになってから、許可の割合(=永住ガイドライン改定後の許可率)は低下しているものの、2017-2018年と同じレベルを維持しています。コンチネンタルでは、経済環境の悪化やCOVID19による影響を注視していましたが、現時点では影響は見受けられません。
2015年 既済件数:56,182件、許可件数:39,820件(許可率:70.9%)
2016年 既済件数:52,819件、許可件数:35,679件(許可率:67.5%)
2017年 既済件数:50,907件、許可件数:28,924件(許可率:56.9%)
2018年 既済件数:61,027件、許可件数:31,526件(許可率:51.7%)
2019年 既済件数:56,902件、許可件数:32,213件(許可率:56.6%)
2020年 既済件数:57,570件、許可件数:29,747件(許可率:51.7%)
永住申請が不許可となる理由
ご自身で永住申請をして不許可となった申請書類一式を見てみると、不許可の要因は、(1)審査要件を満たしておらずに不許可、(2)入管審査官に対する説明や疎明が足りずに不許可、に大別されます。
(1)審査要件を満たしておらずに不許可は、理由が明白であり、要件を満たすまで、または当局から指摘された状況を解消できるまで一定期間は永住申請しても許可は得られません。しかし(2)入管審査官に対する説明や疎明が足りずに不許可となったと思われる場合には、事前に永住申請の課題点を整理して、主張立証の準備を入念にしていれば許可された可能性のある場合も多くあります。
例えば、不許可となった人の申請書類一式は、法務省のウェブサイトに掲載された書類を機械的に提出(それでも不備ありが多数)しただけで、必要なご自身の状況の説明や立証が殆どなされておらず、本当は許可され得るにもかかわらず審査官に誤解を生じさせて、不許可となったと推定されるものです。
許可される確率を上げるには
専門家が申請をした場合と外国人の方が友達や家族に聞いて自分で申請した場合とでは、おそらくは許可率は大きく違うと考えています。外国人ご自身で申請された場合は許可率は、平均の許可の割合を下回るのではないでしょうか。「友達は永住許可が出たのに、なぜ自分は不許可なのか?」とよく問い合わせを受けますが、友達と申請人ご本人では、学歴や職歴、収入、家族構成、在留状況も異なるかもしれませんし、永住申請を行った時期、申請した入国管理局、審査した入管審査官も異なると思います。状況が異なり、入国管理局から認定される事実も異なるので、結果が変わることは多くあります。また、企業経営者・個人事業主の世帯や高度専門職ポイントを利用した永住申請は複雑です。
永住申請は準備から許可を得るまでに1年位かかります。その間、原則転職や家の購入、起業などをしたい場合もあるでしょう。不許可となった場合、最短かつ確実に永住許可を受けるためには専門家に相談することをお勧めします。
コンチネンタルでは、永住申請して許可が取れそうかどうかを、申請人の状況に即して様々な角度から初期診断します。詳しくは、当事務所までご連絡ください。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
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