永住者の配偶者ビザ:永住者の配偶者等
私は永住者です。同じく外国人である配偶者と結婚をして配偶者のビザ(結婚ビザ・パートナービザ)を取得したいです。
外国で適法に結婚が成立した後に、永住者の配偶者等の在留資格を申請します。結婚の実態や収入等がポイントになります。
永住者の配偶者等のビザ(結婚ビザ・パートナービザ)
日本に住む永住者が外国人の配偶者と結婚をして日本で暮らすためには、まずは、①夫婦双方の国で適法な結婚の手続きを完了していることが必要です。
そして、②夫婦双方の国での結婚の手続きが完了した後に、日本で居住するために、「永住者の配偶者等」の在留資格を入国管理局へ申請することになります。一般的に、「配偶者ビザ」「結婚ビザ」「パートナービザ」などと呼ばれるものは、この「永住者の配偶者等の在留資格」を指します。
永住者の配偶者等の在留資格が許可された後は、婚姻の実態などが入国管理局に確認され、永住者の配偶者等の在留資格の更新をしていくことになります。永住者の配偶者等の在留資格を取得した外国人の配偶者は最短3年で永住権(永住者の配偶者等→永住者)を取得できる可能性もあります。
このように、国際結婚をして日本で暮らすためには、「①結婚手続き」と「②在留資格(ビザ)の申請手続き」の2つの手続きを行う必要があります。結婚手続きについては、国ごとに異なり、改正なども行われますので、双方の出身国の大使館(領事館)等に確認しながら進めていくこととなります。
在留資格「永住者の配偶者等」の対象者
「永住者の配偶者等」の在留資格には、「永住者の配偶者」「永住者の子として出生した者」である外国人が該当します。ただし、養子は永住者の配偶者等の対象とはなりません。
永住者の配偶者とは
「永住者の配偶者等の在留資格」(配偶者ビザ・結婚ビザ・パートナービザ)でいう「配偶者」とは、法律上有効に結婚しており、かつ、婚姻関係の実態が認められる者を指します。したがって、事実婚・内縁関係や外国で有効に成立した同性婚は含まれません。また、永住者の配偶者と離婚や死別をしているなど元配偶者である場合も含まれません(審査要領)。
さらに、法律上結婚しているだけでは足りず、婚姻関係の実態が認められないと、在留資格は認められません。婚姻の実態は、結婚に至る経緯や交際の期間や内容、夫婦間のコミュニケーション方法、結婚生活の状況などを総合的に判断されます。
これは主には在留資格の取得を目的に偽装結婚をして不法な滞在や活動を避けるためです。なお、結婚後に、結婚関係が実質的に破綻した場合、永住者の配偶者等の在留資格の更新不許可や在留資格の取消しになることがありますので注意が必要です。
「(略)日本人との間に、両性が永続的な精神的及び肉体的結合を目的として真摯な意思をもって共同生活を営むことを本質とする婚姻という特別な身分関係を有するものとして本邦(日本)において活動することに基づくものと解される。この趣旨に照らせば、(略)その婚姻関係が社会生活上の実質的基礎を失っている場合には、その者の活動は日本人の配偶者の身分を有するものとしての活動に該当するということはできない。(後略)」
永住者の配偶者等の在留資格は、就労ビザのように学歴や職歴などの要件がなく、日本人や永住者と同じように働くことができるため、就労ビザの要件を満たさない人の日本での就労を目的とした偽装結婚が問題となっていました。そこで、入国管理局は、法律上結婚をしただけでは在留資格を認めず、婚姻関係の実態を立証資料として提出させ説明するように求めています。
永住者の子として出生した者とは
永住者の子として出生した者とは「実子」を指します。実子は、永住者との間で結婚をしていない状態で生まれ、認知された子も該当します。永住者であった親が死亡している場合も対象となります。
なお、子が出生した場所によって在留資格の種類が異なってくるので注意が必要です。日本国内で生まれた実子は「永住者の配偶者等」、外国で生まれた場合は「定住者」となります。
※なお、子が日本で出生した時点で、両親のどちらかが永住者である場合、出生から30日以内であれば永住申請を行うことができます。
日本で生まれた子:「永住者の配偶者等」
※出生から30日以内に永住申請を行うことも可能(取得永住)
外国で生まれた子:「定住者」
永住者の配偶者等の要件(永住者の配偶者)
「永住者の配偶者等」の在留資格の要件は、(1)双方の国で結婚手続きが完了していること、(2)事実上の婚姻関係があること、(3)結婚を維持していける経済力があると認められること、となります。
(1)双方の国で結婚手続きが完了していること
「永住者の配偶者等」の在留資格を申請するためには、まずは、永住者及び配偶者の母国での結婚手続きを済ませなければなりません。出身国によって結婚手続きのルールや規制が異なるため注意が必要です。
(2)事実上の婚姻関係があること
事実上の婚姻関係があることとは、真正な結婚であることを指します。永住者と外国人の結婚には、過去に日本での就労などを目的とした偽装結婚が多く発生した経緯があることから、入管当局はその結婚が真正な結婚であるかを厳しく審査します。
そのため、年齢差が大きい(15歳以上離れている)、交際期間が短い、夫婦が別居している(同居していない)や出会い系サイト(マッチングアプリ)などの場合には、通常よりも厳しい審査をされる傾向にあります。その結果、真正な結婚であっても、専門家を経由せず自分で申請した場合などには、立証不十分または申請内容に疑義ありとして、配偶者ビザが不許可になることも多くあります。また、配偶者となる外国人が、過去に所謂偽装結婚事件が多かった国の出身の方である場合は、特に慎重に審査され得ます。
(3)結婚を維持していける経済力が認められること
結婚をして夫婦で十分に生活をしていけるだけの経済力があるかどうかが審査されます。必ずしも、配偶者である永住者から扶養を受けることを要しません。つまり、外国人である夫が就労し、その収入で妻である永住者の生計を立てる場合でも、「永住者の配偶者等」の在留資格は取得できます。この点が、永住者以外の外国人同士が結婚する場合などの「家族滞在」の在留資格と異なる点です。
したがって、夫婦のいずれか、または双方に一定以上の収入や財産などあり、結婚生活を維持していける経済力があるかを確認されることになります。失業や病気療養など何らかの事情で収入が無い/少ない場合、慰謝料や養育費がある場合などは、当面の生活基盤について問題が無いことを具体的に説明できる必要があります。
また、現時点で夫婦ともに外国に在住している場合、夫婦が高齢でリタイヤしている場合などでは、日本での経済力の有無がポイントになりますので注意してください。
適法な在留状況
申請人が既に日本に在留している外国人で、現在の在留資格の変更または更新の申請となる場合、外国人の在留状況が適正なものでなければ、入管法の定めにより在留資格の変更等は許可されません。したがって、配偶者が元技能実習生の場合、元外国人留学生の場合、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、家族滞在などの所謂配偶者ビザで在留していた外国人が、不倫関係で交際が始まった場合、出会った場所が水商売のお店(風俗営業の店舗)の場合には、その在留状況等が入管法で定められた活動やその他の法令に対して適法であるかが確認されます。審査の結果、適正かつ適法と認められない場合は不許可となり得ます。
さらに、過去に入国管理局への申請した内容は全て当局に記録されており、過去の申請内容との相違があるため「申請の内容に疑義あり」として不許可になることもありますので注意が必要です。
(ご参考:配偶者ビザ/過去の申請内容との相違で不許可になった場合)
永住者の配偶者等で認められる在留年限
配偶者ビザの在留期間は、6月、1年、3年、5年のいずれかとなっています。3年以上の在留年限が認められた配偶者ビザを持つ人は、永住申請に係る要件を満たせば永住申請をすることも可能になります。
(ご参考:永住申請のために3年以上の配偶者ビザを取得するためには)
コンチネンタルの国際結婚サービス
国際結婚は出身国や結婚のシチュエーションによってそれぞれに異なり、入国管理局への在留資格申請の方法や必要書類、立証しなければならないポイントが変わってきます。したがって、法務省のウェブサイトに記載された通りに申請をしても配偶者ビザが不許可となるケースも多くあります。ご不安な点がありましたら遠慮なくご相談ください。
(併せて読みたい)在留資格申請を自分で行うリスク(自己申請のリスク)
(併せて読みたい)コンチネンタルの国際結婚サービス
(併せて読みたい)配偶者ビザの審査期間、なるべく早く許可をもらうには?
この記事を書いた人
村井将一(むらいまさかず)
CFP・証券アナリスト・行政書士
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。
専門は配偶者ビザをはじめとする外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
休日の楽しみは、アイドル現場、散歩、夜ホッピーを飲みながら映画を見ること。ネコたちと遊ぶこと。
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