海外から日本へ出向中の企業内転勤ビザからの永住申請
期間限定で在留することが前提である「企業内転勤」の在留資格から永住許可は認められますか?
企業内転勤は、当初計画していた在留期間の更新(延長)に加えて、永住許可も実務上は認められる可能性があります。
企業内転勤からの永住申請
企業内転勤の在留資格で日本に滞在する外国人も、現行の実務上、永住権・永住ビザが認められる可能性があります。
企業内転勤の在留資格は、法令上「日本にある事業所に期間を定めて転勤して」「その事業所において行う技術・人文知識・国際業務の業務に従事する活動」と定められており、日本のグループ会社などへの期間限定の転勤であることが要件となり、日本への派遣期間の定めのない場合は、法令上の企業内転勤の資格該当性がなくなり「技術・人文知識・国際業務」の在留資格となります。
本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が 本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術 の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動
しかしながら、合理的な理由のもと、長期間の企業内転勤の在留資格の更新(例えば、企業内転勤で10年以上在留すること)は、入管実務上認められおり、永住許可もまた現在実務上認められています。
企業内転勤の在留資格の外国人が、永住申請を行おうとする場合、以下のいずれかの方法を選択する必要があります。その中で、最も自分にとって有利なスキームを選択します。学歴(学位&出身校)や勤務先の年収水準、日本語能力などの状況によっては最短で1年の在留で、日本人と結婚している場合は、婚姻から3年かつ1年以上の在留で永住申請ができる可能性もあります。
(1)通常の永住申請(在留10年、うち5年以上就労の在留資格で在留)
(2)高度人材ポイントでの永住申請(70点以上は在留最短3年、80点以上は在留最短1年)
(3)日本人等の配偶者の身分による永住申請(婚姻から3年以上最短1年以上の在留)
企業内転勤からの永住申請の注意点
永住の要件や審査のスケジュールは上記のそれぞれの永住申請の類型と同じです。他方で、企業内転勤の在留資格の外国人は、出向元である母国や他の外国拠点への出張業務などで日本から出国している日数が多い場合がありますので、そのような長期出国がある場合は、継続在留条件が問題になる場合があります。無論、3年以上の在留期間でなければなりません。
また、日本国内・国外での収入、税金の支払い、年金の加入(社会保障協定国の場合など)などは全て日本の法令上適法な状態であることが求められますので十分注意が必要です。
併せて読みたい:日本からの出国が多い会社員(企業内転勤)の永住許可事例
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
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