帰化申請:過去、スピード違反など交通違反などがある場合
過去に何度か交通違反をしてしまいました。帰化申請に不利な影響はありますか?
交通違反の種類(程度)や違反回数などによっては、帰化の審査に不利に影響する可能性もあります。
帰化申請と交通違反の関係
帰化申請では「素行が善良であること(国籍法第5条第1項第3号)」が確認されます。帰化申請の際、運転免許証を持っている人は「運転記録証明書・5年分(警察署等で取得)」を法務局に提出することになり、この運転記録証明書には過去5年分の交通違反・交通事故・運転免許の行政処分の記録を記載されています。
ここに交通違反等が記録されており、その内容(程度)によっては「素行が善良ではない=帰化の許可ができない」という判断になります。帰化申請の前に、法務局から申請の取り下げを指導されることもあり得ます。
なお、交通事故・違反をした場合は、懲役や罰金刑が課される重い罪(刑事罰)と、反則金で済む違反(行政刑罰)に分けれます。
① 懲役や罰金刑が課される重い罪(刑事罰)
帰化が許可されるためには、原則は、日本の法令に違反して懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に課されたことがないことが要件になります。ただし、懲役と禁錮の場合は、刑務所から出所後10年を経過(執行猶予がついている場合は猶予期間が満了してから5年が経過)、罰金・拘留・科料の場合は、罰金支払い等を終えてから5年経過していれば、日本国の法令に違反して処罰されたものとは扱わないことになります。
罰金(もしくは懲役)を伴う重大な交通違反を犯してしまったときは「告知書」(通称:赤切符)が当事者に渡されます。赤切符を切られる場合、罰金か懲役かの刑事罰となるため当事者には”前科”が付きます。裁判において懲役刑・罰金刑のどちらかが確定され、罰金刑の場合、罰金の納付命令を受けます。罰金は違反内容によって上限は定められていますが金額は決まっておらず、裁判所により決定されます。
例えば、危険運転致死・酒酔い運転・麻薬等運転・無免許運転・悪質なスピード違反(一般道で30km以上、高速道で40km以上のスピード違反、交通反則通告制度の対象外となるもの)などが対象となります。
危険運転致死・酒酔い運転・麻薬等運転・無免許運転・悪質なスピード違反など
②反則金で済む違反(行政刑罰)
こちらは、懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に該当しないような軽微な違反などを繰り返し行っていないことが要件となります。交通違反の反則金などで何度も指摘を受けているような場合が該当します。
交通違反の反則金と帰化審査
反則金とは、交通事故・違反の点数制度における6点未満の軽微な交通違反に対して課せられる金銭のことをさします。比較的軽微(6点未満)な交通違反をした場合は、「交通反則通告書」(通称:青キップ)が渡されます。「交通反則通告制度」により、反則金を納付すれば刑事罰にはあたらないため、罰金の支払いは必要ありません。しかし、反則金を納付しない場合などは法に則り、刑事罰として処され罰金刑、懲役刑に移行します。
ただし、交通違反の反則金は、罰金(刑事罰)ではありませんが、何度も繰り返すような場合には、違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行っていることに該当してしまいす。現時点の審査実務上の交通違反等の目安は、過去5年で5回以下、過去2年で2回超(2回まで)は難しいようです。
信号無視・駐停車違反・携帯電話使用・騒音運転・整備不良(雪道のノーマルタイヤ等)など
なお、無免許運転、飲酒運転やひき逃げなどの重い罪(懲役・禁錮・罰金・拘留・科料に該当)であると、それが一度でも罰金の支払い等を終えてから5年の経過などが必要です。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
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