外国の年金受給者の日本への移住相談が増えています
外国の年金受給者の日本への移住相談が増えています
ここ最近、アメリカやオーストラリアなどの外国の年金受給者の日本への移住相談が増えています。たとえば、元日本人でアメリカ国籍など取得して、現在はアメリカの年金(ソーシャル・セキュリティ)で生活をしているかた、または、国際結婚をして長年アメリカ人の配偶者と夫婦でアメリカに住んでいる国際カップル(奥さんか旦那さんのどちらかが日本人)の方々です。
もともと、親や親族の介護や看護などご家族の事情や、ご自身が晩年は生まれ育った日本で暮らしたいというように、一定数の日本への帰国的な移住を希望される方は常にいらっしゃいますが、ここ最近は少し違った事情も見聞きするようになりました。
欧米ではインフレに苦しむ庶民と年金生活者
それは、アメリカや欧州など本国のインフレの事情です。
例示的には、現在はアメリカの年金(ソーシャル・セキュリティ)で生活をしているところ、現地でのあまりの物価上昇により、公的年金だけでは生活が心配になってしまった。しかし、日本に戻れば、米国水準の年金があれば、日本の快適な環境で、十分に晩年の生活を楽しむことがかもしれないというものです。
たしかに、アメリカの年金(ソーシャル・セキュリティ)は、一般的な労働者が退職した場合で、その人の事情にもよりますが、月額2,500~5,000米ドルくらいが支給されています。そして、近年はインフレを考慮して年間5-8%くらい支給額も増えていますが、家の家賃や物価高の方が勢い旺盛です。
アメリカなどの年金受給者、日本に来たらお金持ち?
一方で、米ドルと日本円の為替相場は近年の水準と比べて円安ドル高にあり、もし、月に4000USDの年金をもらえる人ならば、日本円では50万円以上になり、一般的な現役世代とそん色ない(または多い)収入を得ることができます。日本にはそんなに多くの年金をもらえる人はほとんどいないでしょう(充実した企業年金制度などが残っているひと握りのみ)。
そして、日本は物価が安く(ラーメン800円、しかもチップもなし!)、医療インフラが整っており、高額療養費制度もある、治安もいい!若い時は尖っていて一旗あげようと憧れのアメリカに渡ってくらしていたが、年を重ねて人間も丸くなり、親や兄弟姉妹の暮らす日本に懐郷の念もでてきた。というものです。
一昔前(80年代後半から90年代前半くらい?)、日本の定年退職者が、頑張って働いた年金で、晩年を南の国でゆっくり過ごす、といったことがニュースで取り上げられていましたが、30年後の今はその逆の現象が起こっていることは、いろいろと考えさせられます。
※今の若い人には想像もつかないでしょうが、当時の日本の物価と一人当たりGDPの水準は、スイスやルクセンブルクと並ぶ実質世界トップクラスで、物価の安い南の島ならばエンジョイできたといいます。
意外に大変な日本への移住
その場合は、アメリカ人として「日本人の配偶者等」の在留資格を取得して、しかるのちに日本の永住許可をとるか日本国籍を再取得するかの選択になります。
元日本人や日本人配偶者のご当人は「簡単に日本に帰って来れる」と思っていることが多いのですが、実は、あくまで外国人として扱われるほか、日本の非居住者であるため手続きにイレギュラーな点も多く、また、永住や帰化のためには外国からの年金の日本での確定申告が必要になるなど、なかなか大変な部分もあります。
とにもかくにも、私自身もひとりの人間として、自分にとって幸せな人生をおくりたいと思っています(笑)。