【経営管理ビザ】外国からの資本金の振込の注意点
外国から日本への送金で資本金を払い込む予定があります。そのときの注意点を教えてください。
外国から日本への送金は通常よりも送金に時間がかかったり、送金金額に本国での規制がある場合があり、注意が必要です。
日本に資本金を払い込む個人の銀行口座が必要
日本で会社を設立するためには「日本の銀行口座」に資本金を振り込む必要があります。日本で銀行口座を持っていないと会社設立をするための資本金を出資することができずに、会社を設立することができません。
かつて日本に留学していた就職していたなどで、日本に銀行口座を持っていれば問題ありません。また、外国の銀行の東京支店(中国銀行東京支店など)などの個人口座を持っている場合もその口座を使える場合があります。
なお、資本金の振り込みに使用できる銀行口座の名義人は、①発起人(ほっきにん=新しい会社に出資する人)、②新しい会社の取締役となる人、③その他の第三者(親戚や日本に住む友人など)です。発起人以外の銀行口座に資本金を振り込む場合は、発起人から当該口座名義人への資本金受領に関する委任状が必要です。当局の通達
①発起人(会社設立時に株主になる人)
②設立時取締役(会社設立時に取締役となる人、協力者)
③その他の第三者(親戚・知人・協力者など)
経営管理ビザでの資金の送金時の注意!
経営管理ビザでは、資金の出所が細かく審査されます。そのため、外国から資金を送金する際に、必ず外国の銀行から日本の銀行への「銀行振込」を利用してください。送金手数料が安いなどで外国の送金事業者(無免許の違法業者も含む)などを利用すると送金履歴が証明できずに経営管理ビザが不許可になる可能性があります。現金の持参や授受も出所の証明ができないので不可です。
外国からの送金は通常よりも時間がかかる
母国の親や親戚等からお金を借りるなどして資本金相当のお金を外国から送金してもらう場合、国や銀行によって海外送金には通常よりも時間がかかることがありますので、送金スケジュールを、送金元の銀行に十分に確認する必要があります。銀行のオペレーションだけでなく、母国政府の規制当局の許可を得るために時間がかかることもあります。
ちなみに、私が証券会社時代、ある日本の上場会社の増資の払い込みで、あるアジア系銀行がオペレーションミスで払い込み期日に出資元の外国企業の資金を日本の口座に送金できなかった事件がありました(増資手続きはやり直し)。全てではありませんが、外国銀行の中には日本への送金手続きに慣れていない銀行もあると思っておいたほうが良いと思います。
送金手数料や為替レートに注意
また、海外送金には為替手数料や送金手数料がかかりますので、資本金の金額500万円ちょうどを外国の銀行から送金すると、手数料を引かれ日本の銀行には499万円などの着金になってしまいます。499万円など500万円を割り込んだ金額が振り込まれても500万円の資本金が全額払い込まれたことになりませんので注意が必要です。
また、為替レートの変動で日本円に換算すると必要な資本金額(例えば500万円)を下回ってしまいますので、必ず日本円に換算して500万円以上になるようにならないといけません。逆に資本金よりも大きい金額が振り込まれるのは問題ありませんので、少し余裕を持った為替レートや手数料を織り込んで、少し多めに振り込んでおくほうが無難かと思います。
ちなみに、上記の点をお知らせしてもなお、現地銀行のミスなどで日本の銀行口座への振込金額が「4,999,900円」となる人が頻発します。その場合、日本の銀行窓口へ行き、500万円の入出金履歴を作成してもらうことになりますので注意してください。
外貨送金規制などがある場合
例えば、中国のように人民元の持ち出し規制(一人につき2万元までなど)や外貨送金規制(同年間5万ドルまで)などの規制がある場合があります。金額によっては、銀行や母国政府当局の許可を得る必要や、そのための時間がかかる場合がありますので注意が必要です。一度に必要な金額が送金できない場合には、中国の場合ですと、実務上は、複数の家族から必要な金額の送金などをしてもらうことなどが考えられます。
経営管理ビザの要件と注意点はこちら
資本金は経営管理ビザの申請前に使用してよいか?
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
外国人専門起業支援プロデューサー。
~外国人の起業ビザから資金調達までスタートアップを徹底的に支援~
起業のためのビザの不許可・審査長期化のリスクを専門家が極限まで低減。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
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