【スタートアップビザ】起業準備活動計画書とは
【スタートアップビザ】起業準備活動計画書とは
東京都のスタートアップビザにおける起業準備活動計画書には、行おうとするビジネスの内容の詳細、起業準備活動の日程表、収益計画、資金計画、資金繰り表が含まれます。
起業の動機、申請人の役割、背景となる資格、職歴、特殊技能、商品・サービス、事業上の強みを明確に述べることが求められます。
起業準備活動の工程表は、上陸後向こう12か月間の活動予定を1か月ごとに記載します。また、その時に支出する経費についても記載します。活動計画は適当に記載しておけば良いわけではなく、計画で示した必要経費と収益計画、資金繰り表の数値の一致が求められるため、綿密な計画があることが前提になります。
利益計画
その活動計画に基づいて、利益計画が作成されるわけではが、初期的な簿記や会計の知識がないと上手く作成することが難しいかもしれません。提供された収益計画のテンプレートには原価計算の要素(例えば売上原価に入る外注費や人件費の有無など)なども含まれていたり、「※繰越欠損金は、適用しないで計算すること」などの記載する上での指示があるところ、「繰越欠損金」の意味を知らないとおおもとの指示がわからないなど、初期的な簿記や会計の知識がないとそもそもテンプレートに記載されてい項目の意味が理解できない可能性があります。
資金計画・資金繰り表
資金計画は平たく言うと、資金の出入りを示します。現金の出入りと会計上の費用の区別がついている、減価償却費の意味を理解しているなどは前提条件になります。資金繰り表は、向こう6か月または12か月の資金繰りを記載しますが、利益計画と数字がリンクしていないといけないため、会計利益とキャッシュフローの構造を理解していないと難しいものになります。
行政書士からの管見
このように、起業準備活動計画書の内容は一般的にはかなり難解な内容になっているため、専門家のアドバイス(自治体でも中小企業診断士などの専門家がアドバイスしてくれる仕組みもあるようです)が必須になるかと思います。また、テンプレートがワードで提供されているので、数字が合っているのか否かに気付きにくく、その面でも作成が難しいと感じます。
筆者は投資銀行業務で収益計画のプロジェクションなど(この収益とキャッシュフローの見通しをもとに企業価値=株式の価値など算定します)を業として行っていましたが、このくらいの細かいレベルになると企業の経理業務経験者などを除いて普通の人には難しいかと思います。だからといって、簡素化してしまうと、経営・管理ビザで問題となっているような「経営者としての実態の無い申請人」の申請がまかり通ることになってしまうなど、制度の目的や趣旨が没却してしまう恐れがあるので痛しかゆしのところではないでしょうか。
プロフェッショナル

村井将一(むらい まさかず)
外国人専門起業支援プロデューサー。
~外国人の起業ビザから資金調達までスタートアップを徹底的に支援~
起業のためのビザの不許可・審査長期化のリスクを専門家が極限まで低減。
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は、日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員・CFP(日本FP協会)
MBA in Entrepreneurship(Hosei Business School)