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有事に際に企業に必要な現預金水準

今回は、前回のブログ(新型コロナウィルス/COVID19の経済への影響)でお知らせした「有事の際に企業に必要な現預金の水準」についてその考え方を書きたいと思います。私は証券会社で大企業を中心にこの有事の際の現預金水準の提案を数多くしてきました。2002年頃の大手邦銀による企業への貸し渋り貸し剥がしや、2009年のリーマンショックにおける信用収縮によっても企業は十分な運転資金を調達することができずに一定数が倒れていきました。日本の多くの大企業はこの時の経験から、有事の際に、資金を調達する方法または十分な資金を確保しておくことについて準備を進めてきました。(=裏を返すと、赤字だろうが債務超過だろうが手元に資金があるうちは企業は活動を継続できます。)

そのような大企業の有事の際の資金調達(=リスクファイナンスと言います)についてのニーズに応えるために国内外の大手金融機関が様々な手法のサービスを提供してきました。なお、大企業の財務諸表を2000年くらいから20年間時系列に見てみると、特にリーマンショック後に、現預金の水準を拡大させている企業(特にエクセレントと言われる会社に多いです)が一定程度見受けられます。

このように大企業が有事の際の資金繰りの準備を進める一方で、中小企業などでこのような取り組みをしている会社はあまり聞いたことがありません。企業自体に経理や財務の区別もなく、財務に詳しい担当者も社内には居ないほか、コミットメントラインの設定や金融市場からの直接調達の仕組み(調達の多様化やデュレーションの長期化などと言います)や、一定の災害に向けての保険の設定などのプログラムは大企業を前提としたサービスであるためほとんどの中小企業が利用できないということもありました。

したがって、リーマンショック後の中小企業は、従前のように利益が出そうならば節税対策としてキャッシュアウトを伴う投資や消費をしてしまい、(歴史的低金利を打ち返すための銀行の中小企業向け積極的な貸し出し(=銀行からするとそれで金利低下した利息収入を確保するのが目的です)などもあり、中小企業はいわばいくらでも銀行から借りられる環境にあり、企業の自己資本や現預金の水準については特に論じられてこなかったように感じています。

ところで、「有事の際に企業に必要な現金はいくら必要ですか?」という質問をよく受けます。「それは会社によって異なる」というのが回答です。有事に何かがあって売上高が止まった場合にも、事業所や工場の家賃や従業員の給与や支払い、仕入れ先や外注先への債務の支払いは一定程度生じます。したがって、基本的な考え方としては、とてもシンプルで有事で売上がほぼ完全に止まったとして、何ヶ月分の支払い余力(=手許現金)を持っておくのかということです。

3ヶ月と考えるのか、何があるか分からないから6ヶ月と考えるのかは、ビジネスモデルによって異なります。また、固定費と変動費の内訳と状況、資金のサイトなどによって異なります。ですので、具体的には、例えば、企業が通常支払う金額の3ヶ月分(仕入れや外注費用の減少も含む)または●ヶ月分はいざと言いうときに用意しておけるようにしようということになります。

この資金を中小企業がどのように準備しておくのが良いかということになりますが、原則は利益の蓄積でキャッシュポジションを上げておく、銀行からは平時から保険の意味合いで使わなくともあえて借り入れをしておいて両建てしておく(金利は保険料と割り切る)、いざと言う時にオーナー一族から必要な資金を貸し付けられるように一族に可能な限り現金が残るように分配しておく、ということの複合的な選択肢になると思います。

前述のようにコミットメントラインの設定や資本市場からの直接調達はできないため、中小企業の選択肢は少ないです。

ところで、財務戦略の教科書には、株主利益(ROE)を最大化させるために必要以上に現金を持たずに、余った分はより儲けるための投資か配当などの株主還元に当てるように書かれています。「最適資本構成」と言う考え方です。したがって、特に米系企業などではその傾向が強いです(=だからドラスティックなリストラを頻繁に敢行します)。ただし、財務戦略の教科書的な企業財務は、何かあった時のリスクに弱いのも確かです。不況の時はCASH IS KINGともてはやされますが、喉元過ぎれば、現金はすぐに無駄モノ扱いされます。リスクファイナンスの考え方ですらそうです。例えば、好況時には大企業の財務担当者は、「この攻めの時期に負け戦の算段とは何事か?デスク組は現場がわかっていない。」と営業部門から揶揄されたものです。

今回のコロナショックで特筆すべきは、通常は日銭商売でキャッシュの方が日々先に入り、材料などの仕入れ代金を後で払うような飲食店などの売り上げが事実上ストップしてしまったことです。したがって、もともと飲食業などは手元に現金をあまり持っていません。売掛サイトが短く、買掛サイトの方が長い企業などもこの傾向にあります。月商の1月も持っていないのではないでしょうか?政府が一定程度支援をしても、それでは資金繰り的には全く足りませんからバタバタ廃業していくと思います。

今からできることは、とにかく、政府機関・金融機関からの融資や、資産の売却、オーナー貸し付けなどで、集められるだけの現金を集めることです(=したがって、集める金額が相対的に小さくセーフティネット制度のはたらく小規模事業者よりも銀行がリスクアセット縮小のために融資を止めるであろう中堅企業の方が危ないと思います。前回のブログの通り地方の体力の無い地銀の取引先などは大変でしょう。銀行自体も与信関係費用が重くのしかかり、公的資金の投入と同時に経営統合を金融当局から迫られる可能性が高いと思っています)。

このコロナ危機が収束、その時に生き残っていたら、今後は、向こう数ヶ月分の支払い債務の分くらいの現金を確保して事業運営しておくことが懸命です。節税に目が眩み、キャッシュアウトを伴う節税策をとるのは、十分な蓄えができてからにしましょう(事業投資は推定されるリターンとの兼ね合いなので難しいですが・・・)。

さいごに、企業が安全ラインとして設定した現預金の水準以上の部分を、配当(株主還元)や役員・職員の福利厚生、節税に回せばよいのです。証券会社では、自社のリスクファイナンスの考えや競合他社の株主還元政策を鑑みて、余ったお金はそれこそ余剰資金として、大規模な増配や自己株取得などで還元して株式価値を高めることを提案していました。バブル崩壊、邦銀貸し渋り、リーマンショック、3.11、洪水、コロナショック、景気サイクル上必ず不況期が訪れます。サプライチェーンが止まると、キャッシュインが止まります。払わなくても良いコストを払いことになります。ひとときのアベノミクス景気・インバウンド特需に沸いた日本企業の多くが、リーマンショックのあの時を思い出しているのがまさに今です。

 

 

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