知らないと危険!外国人雇用で「不法就労助長罪」を避けるための注意点【2024年最新版】
知らないと危険!外国人雇用で「不法就労助長罪」を避けるための注意点【2024年最新版】
外国人スタッフを雇用している事業主の皆様へ
外国人雇用には、思わぬ法的リスクが潜んでいます。日本での不法就労は、外国人本人だけでなく、その雇用主も「不法就労助長罪(懲役刑もありえます)」に問われる可能性があります。本記事では、不法就労助長罪の仕組みと、事業主が避けるべきリスクと具体的な対策について詳しく解説します。
不法就労助長罪とは?日本での外国人雇用に関する法的リスク
不法就労助長罪とは、日本の入国管理法(入管法第73条の2)に基づき、不法就労に関与した事業主が処罰される法律です。この法律により、不法就労者を雇ったり、不法就労を斡旋したりした場合、事業主には「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、またはその併科が科される可能性があります。
主な不法就労のケース
- 不法滞在者や退去強制命令を受けた外国人を雇用
- 就労許可を得ていない在留資格者が働く
- 許可された在留資格の範囲を超えて働く
たとえ事業主が不法就労の意図がなかったとしても、在留カード未確認などの過失があれば処罰の対象となります。そのため、外国人を雇用する際は、在留資格の確認と就労内容の適法性を徹底する必要があります。
有名ラーメンチェーンや飲食チェーン運営会社の経営者が、この不法就労助長罪(入管法違反)で逮捕等されたニュース報道などが記憶の片隅にある方も多いでしょう。
不法就労助長罪を防ぐための具体的な対策
外国人スタッフの雇用を検討している事業主が避けるべきリスクと、具体的な対策は以下の通りです。
(1)在留カードの確認と有効期限チェック
- 在留カードは、日本の会社に勤務したり日本人との婚姻などで、入管法上の在留資格をもって日本に中長期滞在する外国人が所持する身分証明書です。観光客や不法滞在者には交付されません。在留カードを持っていない場合は、原則として就労できません。
- 在留カードの有効性確認:在留カードの番号と有効期限を、入国管理局の公式サイト「在留カード番号失効情報照会」ページで確認しましょう。偽造在留カードが増えているため、疑わしい場合は入国管理局に報告してください。
- これらの確認の仕組みがある以上、雇用主は知らなかったではすまされず、確認を怠った雇用主側の過失にもなる可能性があります。
在留カード等番号失効情報照会ページ
https://lapse-immi.moj.go.jp/
(2)就労制限の有無を確認
在留カードには「就労制限」についての記載があり、以下の項目に従って確認が必要です:
- 就労制限なし:職種や業種の制限なし(永住者や日本人の配偶者等)
- 在留資格に基づく就労活動のみ可:技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザ、経営・管理ビザなど。従事予定の職種が在留資格に適しているか複雑なところもあるため、入国管理局や専門家への確認が推奨されます。
- 就労不可:基本的に雇用不可。ただし、資格外活動許可を得た場合は週28時間以内の勤務が可能です。
(3)資格外活動許可の確認
「就労不可」の在留資格を持つ外国人でも、在留カードの裏面に**「資格外活動許可」がある場合**、一定の範囲内で就労が許可されています。複数の職場で働く場合は、総労働時間が週28時間以内であることを確認しましょう。
ただし、就労時間や就労場所に制限があるので注意が必要です。
①「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
②「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」
①については、複数のアルバイト先がある場合には、その合計が週28時間以内でなければなりません。②については資格外活動許可書を確認してください。
(4)ハローワークへの届出義務
外国人スタッフの雇用・離職に関しては、**雇用対策法に基づきハローワークへの「外国人雇用状況の届出」**が必要です。期限内の届出を怠ると30万円以下の罰金が科されるため注意が必要です。
(5)在留カードなしで就労可能な場合
在留カードがなくとも、就労可能な場合があります。これらの方については,旅券(パスポート)等で就労できるかどうかを確認する必要があります。特に「留学」「研修」「家族滞在」「文化活動」「短期滞在」の在留資格をもって在留している方については、資格外活動許可を受けていない限り就労できませんので注意が必要です。
- 旅券に「在留カードを後日交付」する旨が記載されている
- 在留期間が3か月以内
- 在留資格が「外交」や「公用」
在留資格の種類については、「在留資格の種類」にて解説していますのでご参照ください。
(6)仮放免許可書を所持している人
仮放免許可は在留資格ではありません。仮放免許可書を所持している人は、入管法違反の疑いで入国管理局による退去強制手続中であるか、既に退去強制されることが決定した人で、いずれも本来であれば入管の収容施設に収容されるべきところ、健康上の理由等、様々な事情により、一時的に収容を解かれている人です。
仮放免許可書の裏面に「職業又は報酬を受ける活動に従事できない」の条件が付されている場合は、就労することができず、許可書にこの条件が記されていない場合には、在留カードから上記の就労制限及び資格外活動の有無等を確認する必要があります。
適法な外国人雇用のために
不法就労は、知らずに関与した場合でも「不法就労助長罪」のリスクが伴います。最近では、人気飲食店や観光業などで、外国人スタッフの不法就労が問題化しており、知らずに雇用するだけでも事業主に罰則が科されるケースが増えています。
まとめ:不法就労助長罪を回避するための外国人雇用管理
外国人スタッフの雇用管理における就労ビザと在留資格の確認は、事業主としての責務です。適法な雇用を行うためには、在留カードの有効性確認や就労制限の有無をしっかりと確認し、法令を遵守することが重要です。不法就労助長罪を避けるために、必要な確認や手続きに不安がある場合は、専門の行政書士に相談することをお勧めします。
外国人雇用でお困りの事業主様は、コンチネンタル国際行政書士事務所までお問い合わせください。 事業主様のリスク管理をサポートし、適法な外国人雇用が実現できるよう支援いたします。
プロフェッショナル
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
行政書士、東京都行政書士会 港支部 執行役員
CFP(Certified Financial Planner)、日本証券アナリスト協会検定会員