高度専門職1号ハでの外国人起業
高度専門職1号ハで起業できる外国人
高度専門職1号ハ(HSP-1c)は、高度人材外国人が日本で事業の経営や管理に従事する活動を認める在留資格です。
一般的には、グローバル企業の経営者や幹部、母国で相応に成功した起業家が対象と考えられます。そのため、現在、高度専門職1号ハの在留資格は日本国内にはわずか数百人しか存在しないレアな在留資格です。他方で、近年、日本政府は高度人材経営者の積極的招聘も進めており、年収4000万円以上の経営者または大企業幹部であれば多くの優遇措置が付されたJ-Skip(特別高度人材)という在留資格も新設されました。
高度専門職1号ハは、高度な経営・管理の分野での活動が想定されているため、在留資格「経営・管理」に相当する資格該当性、基準適合性が審査されます。したがって、高度専門職1号ハでの起業であっても、経営管理ビザで求められる自宅以外の事業所確保や最低500万円以上の資本金、事業の安定性・継続性などの要件を満たす必要があります。そのうえで、高度専門職ポイントを計算した時に70点以上となるか審査されます。
ポイントの構成
高度専門職1号ハの高度専門職ポイント計算表を見ると、ポイント加点される年収は、研究者(イ)や技術者(ロ)の報酬テーブルとは異なり、最低1,000万円以上(10点)から3,000万円以上(50点)のレンジとなり、事業への投資金額が1億円を超える場合(5点)に加点される仕組みがあります。
他方で、研究者(イ)や技術者(ロ)のような博士号取得者への加点や若年層への年齢的加点はありません。なお、入管当局では、高度専門職1号ハは、必ずしも大企業の経営者に限定されるものではない(高度専門職Q&A)とコメントしていますが、高度専門職1号ハは、ポイントをクリアしただけで付与されるものではなく、人員構成などの事業の規模、事業の安定性なども総合的に勘案し、在留資格を審査しています。*日本の大学院への留学経験者などは、経営者の経験が希薄でもポイントだけ満たしてしまうことがあるためです。
高度専門職1号ハに該当しそうな人(例)
高度専門職1号ハに該当しそうな人とは、はじめて起業する外国人の場合は、①日本の有名大学の留学経験者(10点+10点)であって、②修士以上の学位(20点)、③N1以上の日本語能力(15点)を有し、④最低3年以上の経営者経験年数があり(10点+)、⑤代表取締役(10点)として起業する人です(合計75点)。
または、潤沢な資本金を用意でき、開業初年度から代表取締役の年収を1,000万円以上(10点以上)確保できる人、外国での経営経験が5年以上(15点〜)ある場合などは、より該当しやすくなります。
このほかに、事業の規模や事業の安定性を評価できるエビデンスを提供することになります。エビデンスとは取引先との契約書や日本のエンティティのスタッフ雇用契約書などになります。したがって、これらの条件に該当するためには、起業家であれば、現実的には、初めて起業する外国人ではなく、すでに外国で一定程度経営者としての経験のある「企業家」が日本でも事業を始めるケースになると考えられます。
見込み年収のカウントの留意点
高度専門職1号ハは、外国からの報酬(見込み金額)と日本法人からの報酬(同左)を合算することができます。しかし、日本での報酬を事業が立ち上がるまでゼロとすることは認められず、あくまで日本でも300万円以上の見込み報酬額を確保しておく必要があります。また、外国からの見込み年収の合算には、一定の要件を満たす必要もあるため注意が必要です。
高度専門職1号ハに該当する人のメリット
逆説的にいうと、外国での起業経験者などの要件に合致する人は、①経営管理ビザを取得するよりも早くビジネスが始められ(経営管理:審査期間3-4か月、高度専門職1号ハ:同1-2カ月)、②当初から5年の在留期限が得られ(経営管理は原則当初1年)、③一定の要件のもと親の呼び寄せや家事使用人の帯同などに加え、早期の永住申請が展望できるなど高度専門職の優遇メリットを受けることができます。
高度専門職1号ハは、ポイント計算がわかりにくいことに加え、5年ビザを付与するに足りる事業の規模や安定性も審査されるなど複雑なものです。ご自身の事例が基準に適合するかどうかに関しては当法人までご相談ください。諸条件を詳しくお聞きし、初期的な諸条件の調査と点数評価、その後の永住申請に際する注意点に係る助言も行っています(有償のサービスとなります。国内2万円/回、海外3万円/回)。
高度専門職1号ハでの成功事例:お客様の声(VOC)
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
外国人専門起業支援プロデューサー。
~外国人の起業ビザから資金調達までスタートアップを徹底的に支援~
起業のためのビザの不許可・審査長期化のリスクを専門家が極限まで低減。
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員
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