投資家業と外国人と日本人
職業は「投資家」です。
最近、SNSに自称投資家という人が現金で数千万円や、フェラーリのようなスーパーカーに乗る自分の姿を映し出す動画などを目にしたことがある人も多いかもしれません。
私は20年ちかく証券会社で働いていて、「投資家」とう職業が成立している人を見たことがありません。成立するのであれば、国の年金運用はマイナスにはなりませんし(その国の最精鋭のトウシカを最高の報酬や国の命令で召し抱えればよいので)、世界で有名なファンド運用会社や証券会社も不要かもしれません。
今日はこの職業=投資家が成立するかどうかではなく、「投資で生計を立てていける」「投資を業にできる」と考える人が外国人には多いのですが、そのように考えてしまうことも納得できるところもあるということをお話ししたいと思います。
海外は投資で儲かった人も実際多い?
私は昭和生まれの日本人です。子供のころ、ジャパン・アズ・ナンバーワン!といわれて「日本ってすごいなぁ」なんて思っていたら、バブルが弾けて、その後は言わずと知れた「ゼロ成長」、「ゼロ金利」、「デフレ」、な失われたとされる30年間くらいを過ごしています。
ゼロ成長ですから、株式を買っても不動産を買っても、値段の動きは少しはあるかもしれないですが、30年持っていても原則は価値はあまりかわりません。そこで証券マンをしていたのですから、投資家という職業が成立した人を見たことがないのもうなずけます。
しかし、例えば、中国をみると、彼らはこの30-40年、破竹の勢いで経済成長をしてきました。アジアの最貧国の一つだったのが、今は世界第二位の経済大国です。
1990年の一人当たりGDP(おおむね年収)は350米ドル(4.5万円くらい)が、2020年には10500ドル(140万円くらい)まで、実に30倍くらい成長しているわけです。これは水準は違いますが、米国やEU諸国でもトレンドは同じです。
つまり、ここ30年くらいは、株式や不動産を持っていれば、マクロだけでざっくり言うと、ほぼほぼその価値は上がって、結果、儲かったということになります。
そういう人を周りで見ているので、自分も流れに乗って儲かったなどもあるかもしれないので、「ゼロ成長」、「ゼロ金利」、「デフレ」、な30年間くらいを過ごした日本人とは感覚が違うのがわかります。
日本は将来の姿?
だから、外国人の特に若い人は「トウシカ」で食べていきます!と自信ありげにいう人が多いのかもしれません。ですが、ヒトモノカネが集まる覇権国アメリカを除くと、西側は少子高齢化、人口減が始まりつつあります。中国はこれに加えて、いわゆる中進国の罠、西側諸国による経済制裁、バブル崩壊、金融システム不安、というどこかで聞いたことのあるシチュエーションが待っているとされています。
ゆえに、日本がこの30年間たどってきたように、今までの人たちとは、「トウシ」の環境が変わってくることも十分あり得るわけです。
解はあるのか?
わたしは、証券会社でクライアントさんの企業が円高や苛烈な国際競争を生き抜くためにグローバル・サプライチェーンで、外国でモノを仕入れ、外国で人を雇い、それを外国で売り、外国に利益をためて、現地で再投資する(たまに配当金で吸い上げる)、でも、連結会計上はその会社は最高益更新になる、だから時価総額(株式の価値)が最高を更新していく、というのを間近で見てきました。
日本だけ30年間ゼロ成長の責任は「XXXXだ!!」という政治家やエコノミストなどが声高に叫んでいますが、解はそんなに簡単なのでしょうか? 時の本邦随一の実業家、経済学者、エリート官僚、政府が束になってもダメだっただけの複雑な変数があるのではないでしょうか。
わたしは、職業=投資家は、原則は成立しないと思っていますが、それは正解なのでしょうか?不正解なのでしょうか?私が死んだあとくらいにこの記事を見た人に判断してもらいたいと思います(笑)
おわり。