債務超過になった場合の経営管理ビザ更新
業績不振などで債務超過になってしまいました。経営管理ビザは更新できるでしょうか?
1年以内に債務超過を解消する見込みであることを事業計画書で説明し、それについて公認会計士等の専門家から意見書をもらう必要があります。
債務超過とは
債務超過とは、企業の負債総額が資産総額を上回る状態のことで、貸借対照表(Balance Sheet)の純資産合計の金額を見るとわかります。債務超過の場合は、貸借対照表の純資産合計の金額がマイナスとなります。一般的は、すべての資産を売却したとしても債務(仕入代金や借入金など)を返済しきれない財務の状況であるため、倒産する可能性が高いと判断されます。
起業当初は簡単に債務超過になってしまう可能性も
経営管理ビザで起業する場合、資本金を500万円でスタートする人が大半を占めます。しかしながら、簡単にいうと初年度に500万円以上の赤字を出してしまうと債務超過になってしまいます。
初年度は想定以上に売上高が上がらない事も多く、一方で役員報酬や事務所家賃、事業経費は掛かっていきます。また、起業当初は、不動産仲介手数料や不動産取得税などの事業のスタートアップのための先行経費もかかります。500万円くらいの資本金の水準はすぐに債務超過となってしまうことも多くあります。
また、日本人が経営する会社では、自宅で開業する、役員報酬を業績が安定するまでは無報酬(ゼロ)にしておくなどで、赤字を抑えることができますが、経営管理ビザで起業する外国人には、自宅とは異なる場所での事業所確保や最低限の役員報酬(月額20万円以上程度)が求められますので、日本人の起業家よりも会社の赤字が大きく出る可能性があります。不動産賃貸業や飲食店などの減価償却費が比較的大きく出るような業種も注意が必要です。
なお、業績が悪いという理由で、経営管理ビザ許可後に、事業所を解約して自宅や友人の事務所に本店登記を変更した、自身の役員報酬を大幅に減額するなどした場合は、経営管理ビザの更新が認められない場合があります。
経営管理ビザを更新するためには
経営管理ビザの更新においては、債務超過の状態になった場合には、1年以内に債務超過の状態を解消する見込み(=事業が安定する見込み)があることが必要で、かつ、中小企業診断士や公認会計士などの企業財務の専門家による意見書をもらわなければなりません。また、なぜ債務超過になってしまったのかの分析や今後の事業展開の計画を事業計画書で説明する必要もあります。なお、公認会計士などの専門家の意見書の取得には別途費用が発生します(当事務所で適切な専門家をご紹介する事も可能です)。
- 1年以内に債務超過の状態を解消する見込みがあること(事業計画書提出必須)
- 中小企業診断士や公認会計士などの企業財務の専門家による意見書が必要
この場合には、例えば、現在3年ある在留期間が1年とされるなど、在留期間が短縮される可能性も考えられます。この状況は実際のビジネス上も財務的にも危機的な状況ですので、経営管理ビザの更新に関わらず増資等によって資本と資金の手当をしていく必要があります。
なお、2期連続で売上総利益ベースで赤字であったり、2期連続で債務超過となった場合には、事業の継続性が認められず、経営者や第三者による増資等経営支援などがない限り更新は認められません。
(※1)今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出が求められる
(※2)中小企業診断士や公認会計士等の専門家
債務超過を解消するためには
債務超過を解消するためには、①月次利益の蓄積、②第三者割当増資(経営者等が増資に応じること)、③債務免除(経営者が会社へ貸し付けた貸付金債務を免除すること)、等の方法が考えられます。月次の利益蓄積には時間がかかり、かつ、その確実性も定かではない事も多いため、一般的には、②経営者による第三者割当増資や③債務免除の方法が多く行われています。
②第三者割当増資
③債務免除
どのような方法を検討するのかについては、1)債務超過の金額と設備投資や運転資金などの必要資金額、2)月次の業績動向、3)株主構成、4)経営者個人の手元資金の状況、5)手続きとその費用、6)税金、などを顧問税理士などと総合的に検討して決定していきます。格安な顧問報酬の税理士に依頼している場合などには、これらの相談には顧問業務の範囲で応じてもらえない事も多くありますので注意してください。
コンチネンタルのサービス
コンチネンタルでは債務超過からの経営管理ビザ更新の案件を多数手掛けています。必要に応じて、公認会計士などの専門家のご紹介もしています。また、外国人経営者に対しての顧問税理士さん(顧問税理士さんは入管法にはお詳しくない方も多いため)とのコミュニケーションへのアドバイスも行っています。
ご不明な点があれば是非ご一報ください。
基本報酬:150,000円+公認会計士等の費用(ともに税別)
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
外国人専門起業支援プロデューサー。
~外国人の起業ビザから資金調達までスタートアップを徹底的に支援~
起業のためのビザの不許可・審査長期化のリスクを専門家が極限まで低減。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員
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