外国人(外国法人)が会社設立した場合の日本銀行への届出
外国人(または外国法人)が日本に会社設立をした場合、設立後に日本銀行に外為法上の届出を行う必要があるのですか?
要約すると、非居住者または外国法人が10%以上出資して会社を設立する場合、事前または事後に日本銀行に報告書を提出する必要があります。
日本銀行への報告書の提出
日本には、外為法(外国為替及び外国貿易法)という、日本と外国との間における「資金の移動」や「物・サービスの移動」などの対外取引に適用される法律があります。
会社設立に際して、出資が非居住者である個人もしくは外国法人(関係会社も含む)であり、その出資割合が10%以上となる場合は、外為法上の「対内直接投資」に該当することになり、会社設立登記日の45日以内に、日本銀行を経由して財務大臣、業所管大臣に報告書を提出する必要があります。
外為法では、取引の規制(許可・承認、届出)や事後報告を義務付ける一方、その実効性を確保するために、違反の内容によって、例えば、「5年以下の懲役若しくは5百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とか、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」といった罰則規定を設けています。
なお、国籍や行おうとする業種によっては会社設立の前に「事前に届出をする義務(事前届出)」が生じることがあり、事前届出をした場合、会社設立をすることができない「禁止期間」があったり、事前届出の義務を履行しなかった場合、日本政府から(会社の設立のために取得した)株式の全部又は一部の処分等を命じられることもあります。
対内直接投資とは
対内直接投資とは、外国人投資家が行う、以下の取引または行為をいいます。
- 国内の上場会社の株式の取得で、出資比率または議決権比率が1%以上(所定の複雑な条件を満たすと報告不要)となるもの。なお、この出資比率には、その取得者と特別の関係にある外国人投資家の所有株式を含みます。
- 国内の非上場会社の株式又は持分を取得すること(10%未満は報告不要)。ただし、発行済株式または持分を他の外国人投資家からの譲受けにより取得する場合は除きます。
(後略)
外国人投資家とは
外為法では、対内直接投資の当事者として、「外国人投資家」という概念を設けており、次のとおり規定しています。
- 非居住者である個人
- 外国法令に基づいて設立された法人その他の団体又は外国に主たる事務所を有する法人その他の団体(これらの法人その他の団体の在日支店を含む)
- 上記1または2に掲げる者により直接又は間接に保有される議決権の合計が50%以上を占める会社
- 非居住者である個人が役員または代表権限を有する役員のいずれかが過半数を占める日本の法人その他の団体
なお、上記の1から4以外の者であっても、外国人投資家のためにその外国人投資家の名義によらないで、対内直接投資を行う場合は外国人投資家とみなされます。
提出先
報告書は、日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループと、 最寄りの日本銀行支店で受付けていますが、日本銀行からはなるべく日本銀行本店あて直接郵送するようにアナウンスがなされています。報告時期は、会社設立登記日から45日以内まで。報告期限が休日の場合は、休日の前日まで。郵送の場合は、提出期限必着となっています。
提出部数は、財務大臣+事業所管大臣の数です。報告書のコピーと返信用封筒を同封すれば、受付印が押印されたものが返送されます(何もしなければ特段受理を証明する書面は交付されません)。
送り先
郵便番号103-8660
日本郵便株式会社 日本橋郵便局私 書箱30号 日本銀行国際局国際収支課外為法手続グループあて
日銀への報告書提出代理サービス
外国人個人や外国法人が日本に会社を設立する場合には、上記のように、外為法上の報告書(事前報告または事後報告)をしなければいけませんが、外為法の報告ルールが複雑で、日本銀行の説明資料を読んでもなかなか解らない場合が大半ではないでしょうか。出身国や始めようとする事業によっては事前報告が求められ、届出をせずに取引を行った場合、取得した株式(新設会社の株式)を処分するように命令されることがあり得ます。
そこで、コンチネンタルでは代理人として、日本に新設する会社の届出書を日本銀行へ提出する「日銀への報告書提出代理サービス」を行っています。ご不安な方は是非ご活用ください。
※事前届出となる場合:200,000円~(税抜き)
※ご自身で提出される場合の報告書の記載方法、提出方法、添付書類などのお問い合わせには応じられませんので、予めご了承ください。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
外国人専門起業支援プロデューサー。
~外国人の起業ビザから資金調達までスタートアップを徹底的に支援~
起業のためのビザの不許可・審査長期化のリスクを専門家が極限まで低減。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
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