帰化申請における収入要件と税金
帰化申請が許可されるためには、どのくらいの収入水準が必要でしょうか。
合理的に生計を維持できる収入水準であり、適法に納税義務を果たしていることが確認されます。
帰化申請における年金支払い状況の審査
帰化申請では、国籍法で求められる生計要件があります。生計要件とは、本人および配偶者等の世帯全体で独立して生計を営むことができることを言います。したがって、生活補助などの公的扶助を受けていない前提となります。
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
(略)
四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
このように、帰化申請における収入水準は、申請人個人の収入及び配偶者等を含む世帯全体で確認されます。そのうえで、家計の収支(収入-支出)がどのようになっているかが確認されます。家計の収支は、家賃や住宅ローン、その他の借入れの状況、預金口座の入出金の推移などのお金の流れから確認されます。
帰化申請における世帯収入
世帯の収入は、申請人個人の年収及び配偶者などの世帯全員の収入が合算されます。申請人の収入が低い場合/年金受給者/または無職であっても、配偶者の収入と合算して世帯で生計を営むことのできると認められる収入の水準となれば帰化は許可され得ます。なお、その他の収入では、母子家庭の児童手当や児童扶養手当も合算されます。また、親族からの仕送りも世帯収入に合算される場合もあります。
具体的な収入金額がどのくらいかが気になるところ、現時点の帰化審査では最低ラインは、概ね月収20万円前後以上となっているようです。概ね新卒者の初任給水準を下回る収入(例えば最低賃金の水準)の場合、居住地域や家族構成にもよりますが、そこから家賃や通信・水道光熱費、家族の食費&生活費、年金&保険の支払い等などを差し引くと、独立した生活が困難になる場面も想定され得ます。
なお、個人事業主や会社経営者の場合、自身の生活費用を事業経費や会社経費等で賄っており、個人所得(売上-経費)や自身に支払われる役員報酬を低く設定してあるケースも多く見受けられます。その場合、個人事業主の修正申告や役員報酬の見直しの必要があるかもしれません。なお、審査では、修正申告等を行った場合の一連の過程は総合的に判断されます(税法違反等の可能性もあります)。
帰化申請における世帯支出
世帯の支出としては、家賃・住宅ローン、通信費、光熱費、食費、生活費用、学費、ローン返済額などが対象となります。収入に比して、過大な生活費用で家計が赤字状態にある場合には、上記の最低収入ラインを超えていても許可されません。また、各種ローンなどの借入金があり、借入金返済額が大きく家計が赤字になる場合も同様です。その意味では、月次収支又は年間の収支が黒字になっており、世帯の預貯金の金額が少しでも増えている場合は、世帯収支は外観的に健全といえます。
税金未納がある場合
帰化申請に際しては、課税された税金は適法に支払い済みであることが求められます(素行要件)。会社員の場合は、個人の所得税や住民税などが中心となると思いますが、個人事業主の場合は、個人事業税や消費税等が、法人経営者の場合は、消費税、法人税、法人事業税、法人住民税等の支払い状況が確認されます。
なお、税務調査が入り、延滞税や重加算税を支払うことになっている場合であっても、それらが完納していることが必要です。また、副業や個人アルバイトなどの所得や不動産所得等があり、それらを適法に確定申告をしていない場合も注意が必要です。
また、結婚して配偶者がいる場合には、配偶者の分の納税証明書も法務局へ提出する必要がありますので、本人が完納していても、配偶者が事業主などで未納の状況がある場合には、注意が必要です。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で18年間アドバイザリー業務等に従事。
2004年ファイナンシャル・プランナー(FP)の国際ライセンスであるCFP(Certified Financial Planner)を取得。FPとは一人ひとりの将来の夢や目標に対して、お金の面で様々な悩みをサポートし、その解決策をアドバイスする専門家。CFPは世界24カ国で認められた世界共通水準FPサービスを提供できるプロフェッショナルであることを証明する上級資格です。
FP資格における年金や保険、資産運用、税制、住宅ローン、相続などの幅広い専門知識と長年金融機関で培ったノウハウを駆使しながら、日本人の配偶者等の在留資格(配偶者ビザ)の取得を目指していきます。
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