ワーキングホリデーで来日した外国人を雇用する方法と注意点
ワーキングホリデーで来日した外国人を正社員として採用する方法と注意点
ワーキングホリデーで働く外国人をそのまま採用することは可能か?
ワーキングホリデーで日本に滞在中の外国人をそのまま自社で継続的に採用したい場合、特定の在留資格を取得する必要があります。例えば、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などの在留資格が取得できる場合には、採用が可能です。しかし、各国ごとに協定や制度の違いがあるため、個々の条件についても確認が欠かせません。
ワーキングホリデー制度の概要
ワーキングホリデー制度は、2つの国や地域間の協定に基づき、相手国の若者が一定の就労をしながら滞在できる特別なビザです。この制度は若者に対し、相手国の文化や生活を経験する機会を提供し、双方の理解を深めることを目的としています。日本は1980年にオーストラリアと最初のワーキングホリデー協定を結び、現在では23の国と地域が対象となっています。
例えば、オーストラリアやニュージーランド、フランス、カナダ、韓国などからの年間約15,000人の若者が、日本でワーキングホリデービザを取得して滞在しています。以下は主要な対象国と協定の開始年です:
(対象国・開始年)
オーストラリア(1980)
ニュージーランド(1985)
カナダ(1986)
韓国(1999)
フランス(2000)
ドイツ(2000)
英国(2001)
アイルランド(2007)
デンマーク(2007)
台湾(2009)
香港(2010)
ノルウェー(2013)
ポルトガル(2015)
ポーランド(2015)
スロバキア(2016)
オーストリア(2016)
ハンガリー(2017)
スペイン(2017)
アルゼンチン(2017)
チリ(2018)
アイスランド(2018)
チェコ(2018)
リトアニア(2019)
ワーキングホリデー査証(ビザ)発給の要件
ワーキングホリデー査証は、発給条件が厳格に定められています。以下は一般的な要件です:
- 対象国に居住する対象年齢(18〜30歳まで)の国民であること(ただし、オーストラリアや韓国などでは30歳までの例外あり)。
- 休暇を主目的とし、滞在中に一定の資金を補うための就労を行う意思があること。
- 帰国用の航空券または購入資金を持ち、滞在当初に必要な資金を保持していること。
- 健康で、過去にワーキングホリデー査証を取得していないこと。
ワーキングホリデーでの就労可能範囲
ワーキングホリデー査証では、就労可能な職種に制限はありませんが、日本の風俗業など特定の業種での就労は法律で禁止されています。これらに従事した場合、退去強制処分の対象となり、違反した雇用主は不法就労助長罪などの罪に問われることもあります。企業が採用を検討する際には、法令遵守が徹底されるよう、外国人の就労環境について十分配慮することが求められます。
ワーキングホリデーでの滞在期間と在留資格変更の可否
ワーキングホリデーでの滞在期間は対象国によって異なり、最大1年または6カ月です。特定活動(ワーキングホリデー)は、来日前に日本の大使館や領事館で発給されるため、日本滞在中に他の在留資格への変更は基本的に認められていません。
また、イギリス、アイルランド、フランス、ドイツ、台湾、香港、スペインなど一部の国では、ワーキングホリデー滞在後に一度母国に帰国し、その後「在留資格認定証明書交付申請」を行う必要があります。これは、「滞在終了時に出国の意思を持つこと」を条件としているためです。
ワーキングホリデー終了後の採用手続き
ワーキングホリデー終了後もそのまま採用する場合、次の在留資格の要件を満たす必要があります:
- 技術・人文知識・国際業務:例えば、外国人が専門的な知識や技術を活用して業務を行う場合、学歴や職務経験が要件を満たすことが必要です。
- 高度専門職:高度なスキルを持つ外国人に適用される資格で、特定のポイント基準を満たすことが必要です。
- 特定技能:建設や介護などの特定分野でのスキルがある場合、試験に合格していることが要件となります。
特に、ワーキングホリデーが終了した後に帰国が義務付けられている国の出身者の場合、まず帰国してから再度在留資格認定証明書交付申請を行う必要があります。これにより、採用手続きが通常よりも時間を要する場合があるため、早めの準備が望ましいです。また、ワーキングホリデー査証は大学卒業などの条件を必要としないため、採用の際には「技術・人文知識・国際業務」ビザの学歴や専門分野の要件を満たしているかどうかの確認が不可欠です。
採用時のポイントと事前確認の重要性
ワーキングホリデーでの雇用から正式採用へと移行する際には、採用手続きに時間がかかること、そして申請条件が厳格であることを念頭に置く必要があります。外国人の採用や在留資格申請に精通した専門家に相談することで、スムーズな採用と法令遵守が実現しやすくなります。特に、国や地域ごとの違いや特有の条件に合わせた対応が必要となるため、早期の準備と詳細な確認が求められます。
日本でワーキングホリデー後の外国人を採用したいとお考えの場合、事前に必要な要件や手続きをしっかりと把握し、関係当局への照会や専門家への相談を行うことで、採用がスムーズに進み、法令に準じた採用が可能になります。
プロフェッショナル
村井将一(むらい まさかず)
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
行政書士、東京都行政書士会港支部 執行役員
CFP(Certified Financial Planner)、日本証券アナリスト協会検定会員
【外国人のみなさま】
◆ 日本で働きたい
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