【経営管理ビザ】債務超過になった場合の対応策
今期の赤字の金額が大きく、債務超過となってしまいました。経営管理ビザは更新できますか?
公認会計士・中長期業診断士などの第三者の意見書のほか、債務超過解消に向けた事業計画書が必要です。
債務超過になってしまったら
債務超過になってしまったら、①公認会計士や中小企業診断士などの企業評価を行う能力のあると認められた公的資格を持った第三者に「1年以内に債務超過を解消する見通しとその理由が書かれた意見書」を作成してもらう必要があります。そして、②債務超過解消とその後の事業の継続性を説明する事業計画書(Business Revival Plan)を入管当局へ提出する必要があります。
債務超過になると企業の信用が失われるため、自分だけで計画を説明するだけでなく、日本の公的資格を持った第三者機関による意見が求められるのです。
公認会計士や中小企業診断士「1年以内に債務超過を解消する見通しとその理由が書かれた意見書」をもらうためには、彼らに対して、決算書、月次試算表、銀行口座、事業計画書、その他事業に関係ある書類を提出し、ヒアリング面談を受けるなどして意見書を作成してもらいます。
意見書や合理的な事業計画で説明することで、経営管理ビザの更新許可を目指していきます。
専門家の費用は、その専門家や会社の事業内容そして依頼する内容などによって異なりますが、意見書は10〜20万円くらい、事業計画書作成は20〜30万円くらいの間になると思います。※当事務所より専門家をご紹介することも可能です。
具体的な債務超過解消の方法
債務超過解消に向けての具体的な方法は、①利益蓄積による解消、②第三者割当増資などの増資によるもの、③債務免除によるもの、などが考えられます。
①利益蓄積による解消
債務超過の金額が小さく、翌年の事業の利益(当期純利益)で十分にまかなえる場合には、利益蓄積による1年以内の債務超過解消が可能です。
例えば、債務超過の金額がマイナス100万円で、翌年の利益(当期純利益が400万円)となる見込みの場合は、利益の蓄積で翌年は、債務超過額▲100万円+利益400万円で純資産は300万円を確保することができます。
債務超過の金額が小さく、翌年はしっかりと黒字を見込める場合が対象になります。
②第三者割当増資
第三者割当増資は、外国人起業家本人や親会社等から追加して出資をしてもらい、資本を増強することで、最も一般的な方法です。
例えば、債務超過の金額がマイナス300万円で、翌年の利益(当期純利益が200万円)となる見込みの場合は、利益の蓄積で翌年は、債務超過額▲300万円+利益200万円で純資産は引き続き▲100万円とないナスになりますので、あたらに外国人本人や別の事業パートナーなどから100万円以上の会社への出資を募って純資産がプラスになるようにしなければなりません。
通常は少し余裕を持って出資金額を募集するので、この場合だと、債務超過額300万円プラスα以上で500万円程度の増資となることが一般的かと思います。
外国人社長1人の会社の増資は1日で決議することができますが、会社の法人口座を持っていないと増資の登記ができないため、法人口座を持っていない人は注意が必要です。外国人起業家は、会社の法人口座を作ることが難しい場合も多くあるからです。 ※当事務所から増資手続きを行う司法書士を紹介することができます。
③債務免除による方法
債務免除とは、会社にお金を貸している人が「そのお金はもう返さなくて良いです」と会社の借金を免除してくれることです。かんたんに言うと、外国人起業家が会社に個人のお金を貸し付けていることが多くありますが、その一部の金額などを免除することです。
会社は会計上債務を免除された金額が「債務免除益」と言う利益となるため、利益で計上した金額が、①で説明した利益の蓄積のようになります。
例えば、②のように、債務超過の金額がマイナス300万円で、翌年の利益(当期純利益が200万円)となる見込みの場合は、利益の蓄積で翌年は、債務超過額▲300万円+利益200万円で純資産は引き続き▲100万円とないナスになりますので、外国人社長から100万円以上の会社への債務免除を行って純資産がプラスになるようにしなければなりません。
②の場合と同じように、通常は、計画している業績の変動などを織り込んで、少し余裕を持って債務免除の金額を検討していきます。
ただし、この場合、債務免除益に対して発生する税金や債務免除した金額が外国人起業家に帰ってこないことにも注意が必要ですので、事前に顧問税理士と相談をしながらの検討が必要です。
注意すべき点
2回連続で債務超過となった場合、経営管理ビザが更新される可能性が極端に低くなりますので、上記の債務超過の解消方法には十分に注意しながら、その方法を検討することが必要です。また、経営管理ビザの更新が控えているときは、決算の段階からビザの専門家にも相談しながら、顧問の税理士さんと相談する必要もあります。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
相談してみる
【外国人のみなさま】
◆ 日本で働きたい
◆ 日本で会社を作りたい
◆ 結婚したい
◆ 永住したい
◆ 日本国籍をとりたい
【事業主のみなさま】
◆ 外国人を雇いたい
◆ 入国管理局への申請をしてほしい