国内在留外国人の経営・管理ビザ申請のポイント
国内在留外国人の経営・管理ビザ申請のポイント
国内に滞在する外国人が経営・管理ビザに変更する場合、どのような点に留意すべきでしょうか?
国内に滞在する外国人とは、主には技術・人文知識・国際業務ビザなどで会社員として働く外国人、教授ビザの大学教員、留学ビザで大学院や大学に通う外国人、家族滞在ビザで暮らす妻や夫などが想定されます。
在留資格の変更スケジュール(入管法第19条、法別表のルール)
現在、経営・管理ビザの審査は長期化しており、6か月以上かかることもあります。経営・管理ビザの審査中は設立した会社でビジネスを始めることはできません。飲食店などを開店することもできないのです。入管法別表の経営・管理の在留資格の活動に係る条文、入国管理局の運用要領によると、自分自身が経営者として働くことはもちろん、経営する会社が事業活動を開始することもできません。まして役員報酬ももらうことができません。実際は審査中に事業を開始している人もいるみたいですが、入管法違反となり、経営・管理ビザの不許可の理由になりえるほか、次回以降のビザ更新が難しくなる可能性もあります。
そこで、在留資格の変更をする際には、無職無収入なのに、オフィスの賃料などの経費だけ払い続けながら、審査完了まで待機する期間が発生する可能性があります。審査期間が短ければあまり問題になりませんが6か月やそれ以上ともなると事業主にとっては、経済的にも精神的にもかなりの負担になります(常勤雇用する従業員も不安に思うでしょう)。
この点から、審査期間が長期化しても耐えられる、スケジュールの想定と十分な資金を用意しておくことが肝要です。この点が、国内在留者の経営・管理ビザ取得の不利な部分です。例えば、日本にビジネスパートナーが居れば、パートナーに会社のセットアップと運営を任せ、自身は経営・管理ビザの申請後、在留カードを返納し、母国へ帰国して母国で活動準備をする、待機する、スタートアップビザ(特定活動44号)への変更を経るなども一考ではあるかもしれません。
たしかに、スタートアップビザへの変更をかませれば、ビザ待ち休業期間を回避できる可能性があります(一方で東京都などの自治体から厳しく煩雑な審査や面談、実地調査などを受けることになります)。
現在の在留資格での活動状況(入管法第20条)
申請人が現在、現に有する在留資格の活動を行っていな場合は、経営・管理ビザへの変更は不許可になる可能性があります。在留資格の変更許可は、現在留資格で適法に活動していた人にのみ認められるものだだらです。
したがって、例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格で勤務していた会社を1か月でやめて1年くらい無職で何もしていなかった(就職活動も実質的はしていない)、技術・人文知識・国際業務の在留資格で、YouTuberなどのSNSインフルエンサーの活動をしていた、などの場合は、経営・管理への在留資格変更は不許可になります。
この記事を書いた人
 村井将一(むらい まさかず)
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
行政書士 東京都行政書士会港支部 副支部長
CFP(日本FP協会)
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