【外国人の会社設立】市場規模と市場成長性
想定される市場規模と成長性
市場規模と市場成長性は、ターゲットとなる市場が、どのくらいの規模の市場であり、どのくらいのスピードで拡大、横ばい、縮小しているのか、競争環境、を考えます。
大きな市場なのか、小さな市場なのか、拡大している市場なのか、横ばいの市場なのか、または現在縮小傾向の市場なのか、激しい競争で強い競合がいる市場なのか、個人事業者ばかりで緩くやっている市場なのかという観点です。
市場といっても、これから始める事業がその業界の中でどの立ち位置か細分化していく必要があります。例えば、イタリアン・レストランの事業であれば、①外食市場全体からイタリアン・レストランを切り出して、②その中にも、ファミレス形態、イタリアン酒場、ファーストフード、格安店、高級店などに細かく分類(セグメント)していきます。
外食業態全体では、市場が横ばいであっても、細かい業態別でみてみると、かつて伸びていた「俺の」シリーズのように拡大している分野があったりします。自分のやろうとしているイタリアン・レストランの事業がどのセグメントにあるのかを、まずは把握する必要があります。
市場規模が大きくて成長していても、競合が激しく参入が難しいかもしれませんし(例えば、高齢化日本における相続手続きマーケットなど)、大手企業が小さすぎて参入しないニッチな市場でも緩やかに拡大している分野もあるかもしれません。
例えば「俺のイタリアン」は、少子高齢化や中食の発達で苦戦するイタリアン・レストランのなかで、ミシュラン店並みのイタリア料理をミシュラン店の1/3の価格で提供するというアプローチで、顧客の新しい需要を作り出すことに成功しました。成熟した既存のサービスには制度疲労のようなものが起きていることもあり、アプローチの方法を変えるだけで大きなチャンスがあるかもしれません。
また、市場の成長性は、原則は縮小していないことが望ましいです。例えば、若い人の数が減っている日本では若者向け市場が縮小しており、今までの市場規模を維持できずに、若者向けアパレルブランドの撤退やヤング雑誌の廃刊、お菓子の生産中止などが頻発しています。市場規模が縮小していく中で、逆行して事業を拡大していくことはとても難しいことです。
市場規模の推計
市場規模の推計には2つの方法があります。1)政府や大手シンクタンクの公表数値を利用することと、2)想定する顧客数や客単価、利用率から市場規模を想定する方法です。
政府や大手シンクタンクの公表数値
1つ目は、政府が試算している統計やみずほ銀行産業調査部・三菱UFJリサーチ&コンサルティングなどの民間シンクタンク、矢野経済研究所や富士キメラ総研などの市場調査会社が出している数字を利用することができます。いわゆるマクロ的に大まかな市場の規模やその成長性などのトレンドをつかむことができます。
インターネットで「介護 市場規模」などと検索すれば、「●●●●億円(2050年には●●●●億円へ拡大見込み)」という大まかなトレンドをつかむことができます。有料でレポートを購入すれば、介護付き有料法人ホーム、通所介護、介護用品レンタル、介護食品の宅配、介護ロボットなどもっと細分化した事業ごとの数値を取れることもあります。
顧客数×客単価×利用率で数値を積み上げる
もう一つは、「ターゲット顧客・ユーザーの数 × 客単価 × 利用してくれる率」から逆算します。
例えば、外国人の就労ビザ手続きに関する専門家の市場規模を見てみると、6万人が新たに就労ビザ(認定+変更)を取得するとします、そのうちの50%が専門家を使っていて、専門家の料金が10〜15万円くらいとすると、6万人×単価10〜15万円×利用率40〜50%=24〜45億円になります。実際には、専門家の利用率がもっと高いまたは低いかもしれませんし、価格も前後するかもしれませんので、そこがブレになります。相場が明確にあって平均値が取りやすい場合や利用率が明確な場合などはより詳しく計算できることになります。
よく●●億円〜●●億円の規模と記載されている場合には、単価や利用率などに幅を持たせてレンジにして表示をしているのです。
そして、ここには永住申請をする人や帰化申請をする人、結婚をする人などが含まれていないので同じように計算をして数字を積み上げていきます。また、在留資格の更新は、一般的に単価が安く、かつ、自分でやる場合も多いと思いますので、専門家の関与率は少なめに設定することになるでしょう。
この場合の、市場の成長性については、政府やシンクタンクの成長見通しを利用したり、過去2、3年のトレンドなどを参考にしてみることができます。
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【コンチネンタルの日本市場調査サービス】
コンチネンタルでは、日本の市場規模、成長性、競合他社分析などの市場の調査(個別調査)を、有料オプションにて受託しております。中国語、英語など母国語への翻訳も可能です。費用は業種やどこまで調査するか、作業工数、翻訳費用の有無などに個別にお見積もりしますので、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員
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