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【経営管理ビザ】会社設立の後に税務署などに提出する書類

【経営管理ビザ】会社設立後に提出する書類


会社設立をした後に、税務署・都道府県税務署と年金事務所・労働基準監督署などに税務と労務の各種届出をしなければなりません。特に、税務署等に提出する書類は、経営管理ビザを申請するときに申請書に添付する重要な書類です。そして、労務の届出は、法律で義務とされており、経営管理ビザの更新にも影響が生じえます。また、将来、永住や日本国籍を取得(帰化)するときには、社会保険への加入状況について厳しく審査される重要なものです。

届出には税理士や社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めしていますが、管轄の税務署や年金事務所などの窓口で相談のうえ、ご自分で届出をすることも可能です。

 税務署などに提出する書類

会社の設立後、税務署などへ以下の書類を提出します。届出した書類は経営管理ビザの申請時に審査資料として提出しますのでとても大事です。なお、これらの書類は、外国人本人又は税理士により提出します。なるべく税金を安くしたいなどの税務相談を税理士にしたい方は、当事務所で提携している税理士をご紹介することもできます。

税務署への提出書類
1.法人設立届出書
2.青色申告の承認申請書
3.給与支払事務所等の開設届出書
4.源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
5.棚卸資産の評価方法の届出書(任意)
6.減価償却資産の償却方法の届出書(任意)
都道府県税事務所への提出書類
1.法人設立届出書(各都道府県HPを参考)
市町村への提出書類(東京23区は不要)
1.法人設立届出書(各市町村HPを参考)

①法人設立届出書

法人設立届出書は、新しく設立した会社の概要を税務署に知らせるための書類です。これを届け出ると税務署から税金関係の書類を送ってもらえます。また、法人設立届出書は、会社設立から2ヶ月以内に提出しなければいけません。期限を過ぎないように注意してください。

 

①の1 法人設立届出書に記入する

用紙は国税庁HPの「内国普通法人等の設立の届出」からダウンロードすることができます。

①の2 添付書類を用意する

法人設立届出書には以下の4つの添付書類が必要です。法人設立届出書から順番に添付してホッチキスで留めて提出をします。分からなかったらそのまま税務署に持っていき、担当者に聞くと良いです。

添付書類

  1. 定款のコピー
  2. 株主名簿
  3. 設立時貸借対照表

1)定款のコピーは、会社に保存している定款をコピーして下さい。2)株主名簿は経営管理ビザの申請にも使います。3)設立時貸借対照表は、特に決まった書式はありませんので、下記の図を参考にEXCELなどで作成することになります。

 

株主名簿と設立時貸借対照表のサンプル

② 青色申告の承認申請書

会社の法人税の申告方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は白色申告と比べて記帳を複式簿記で行うなどの手間がかかりますが、決算の赤字を9年間繰り越すことができたり、法人税額の控除を受けられたりなど、税金上のメリットがとても大きいです。複式簿記といっても会計ソフトを使えば簡単に処理できます。

そして、青色申告申請書は、設立した会社が青色申告で法人税を納めるために必要なものです。そして、青色申告申請書は、会社を設立してから3ヶ月以内、または最初の事業年度の末日までに提出しなければいけませんので期限が過ぎないように注意して下さい。

青色申告の承認申請書は、国税庁HPの「青色申告書の承認の申請書」からダウンロードすることができます。

③ 給与支払事務所等の開設届出書

個人事業主の場合、売上から経費を差し引いた残りのお金が、自動的に個人の所得としてみなされます。しかし、株式会社の場合は、代表取締役や取締役などの役員や、その他従業員の給与も会社の費用(損金)として扱います。経営管理ビザを取得する際は、一定金額以上の役員報酬の支払いが必須であり、かつ、カテゴリー4の提出必須の書類です。

給与支払事務所等の開設届出書は国税庁HPの「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」よりダウンロードすることができます。

④ 源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書

源泉徴収を毎月納めるのは大変なものです。そこで、給与を支払う従業員が10名未満の小さな会社は、源泉徴収の納付を、7月10日までと、1月20日までの年2回にまとめてできるという特例が設けられています。そしてこの特例を適用するためには、この源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書を提出する必要があります。創業後の負担を大きく軽減することができるので、全ての会社が提出すべき書類です。

国税庁HPの「源泉所得税の納期の特例に関する申請書」から申請書をダウンロードすることができます。

⑤ 棚卸資産の評価方法の届出書(任意)

棚卸とは、商品の在庫や材料を一つ一つを数えて、その合計の金額を出すことです。棚卸は税金を計算するために必要な作業です。そして、棚卸資産の評価方法には、先入先出法や後入先出法など全部で9種類あります。会社にとってどれが良いか、顧問の税理士を雇って相談することをおすすめします。

また、棚卸資産の評価方法の届出書は、最初の確定申告の提出期限までに提出する必要があります。それまでに提出しなければ、自動的に「最終仕入原価法」という評価方法を取らなければいけなくなってしまいます。

⑥ 減価償却資産の償却方法の届出書(任意)

会社が事業を行う上で必要な自動車や設備などは購入してから時間が経つにしたがってどんどん価値が減っていきます。これを「減価」といいます。そして、会社は、その減価を経費として扱うことができます。

そして、減価の計算方法は、主に定額法や定率法の2つがあります。どの計算方法が最も節税になるかは会社によって違いますので、税理士と相談して決めましょう。また、この届出書を提出しなければ、自動的に定率法を適用しなければいけなくなります。したがって、定率法を選択する場合は提出の必要はありません。

 

 

 都道府県税事務所・市町村に法人設立届出を提出

税務署に書類を提出したら終わりではありません。都道府県と市町村にも、地方税を支払うために、それぞれに法人設立届出書の提出が必要となります。各都道府県の税事務所の「法人事業税課(住民税課)」と、市町村役場の法人住民税課の両方に提出します。

なお、これらの書類も、原則経営管理ビザの申請の時に入国管理局へ提出しますので、必ず提出することが必要です。

なお、書類は税務署と違い都道府県や市町村によって異なるため、法人設立届出書を都道府県事務所と、市区町村の役所のホームページを確認してください。多くの場合HPから申請書をダウンロードできるようになっています。税務署に提出した時と同じように、定款のコピーや登記事項証明書の添付なども必要です。

 

 社会保険等の届出

法人の事業所は、従業員の人数に関わらず社会保険への加入が義務付けられています。これは社長1名だけの会社の場合でも一定の報酬があれば加入しなければなりません(経営管理ビザは役員報酬をゼロにはできません)。小さな会社で「社会保険は保険料が高いから加入しない」といったところも見られますが法令違反となってしまいます。

2020年の外国人経営者の在留資格基準に関するガイドライン改定に伴い、経営管理ビザでの社会保険加入義務が明確化されました。また、将来、永住申請や帰化申請をする場合には、社会保険へ適法に加入していることが条件となってきます。(ご参考:経営管理ビザ→永住の取得

社会保険加入手続きは年金事務所に、労働保険加入手続は、労働基準監督署・公共職業安定所に手続きをします。また、従業員が入社したり退社する時も書類の届出が必要ですし、労働保険の『年度更新手続き』、社会保険は『算定基礎届』なども必要になります。これらの手続きを正確に行うには専門的な知識が必要になりますので、自分で手続きすることが難しい場合は、社会保険労務士へ手続きを依頼することをおすすめします。

 

この記事を書いた人

村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。

在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。

入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員

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