外国人の古物商許可と経営管理ビザ
外国人が日本で中古品を扱うビジネスを行いたいのですが、どのような許認可が必要になりますか?
日本で中古品を取り扱うビジネスを行うためには原則古物商の許可が必要です(事業の内容による)。
外国人が古物商の許可をとる
古物商とは、古物営業法に規定されている古物を売買する事業者を言います。日本で中古品を取り扱うビジネスを営むためには古物商の許可が必要になります。中古ブランド品の売買や日本の中古車や家電を海外に輸出する場合などに必要です。
・中古車の売買
・ブランド品の売買
・オークションサイトの運営
・日本で買い取った中古品を海外で売る
※外国で自ら買付けた中古品のみを国内で売る場合は許可不要
古物商の許可は、盗品の流通防止と被害の早期回復を目的としていますので、申請先は、会社(営業所)の所在地を管轄する警察署の生活安全課が窓口となっています。
申請書類
外国人が会社を設立して古物商の許可申請をする場合には、古物商許可申請書と添付書類を提出します。添付書類は、役員全員の略歴書、誓約書、住民票、本籍地発行の身分証明書、登記されていないことの証明書、会社の登記簿謄本、定款が必要になります。申請した後の審査期間は、約1か月~1か月半です。
- 古物商許可申請書(別記様式第1号1~3)
- 会社の登記簿謄本
- 定款(事業目的に古物商を営むことを明記)
- 役員全員の略歴書
- 住民票
- 登記されていないことの証明書
- 市区町村発行の身分証明書 ※日本人と異なる
- 誓約書
外国人が日本人と異なる点
ここで外国人が日本人と異なる点が2つあります。1つは、外国人は「身分証明書」という書類が発行してもらえないので、それに変わる書類を用意することです。2つ目は、古物商を営むことのできる在留資格を持っていることです。
なお、日本に住んでいない外国人の人は、住民票や登記されていないことの証明書、在留資格も未だないため、管轄する警察によっては古物商許可が取れない場合があります。そのような場合は、会社設立の資本金払い込みやオフィス事務所の賃貸契約の時と同じく、日本人または事業経営を行うことのできる在留資格を持っている外国人の協力者が必要なことがあります。
①身分証明書の代わりとなる書面が必要
外国人の方は日本国内に本籍地がありませんので、身分証明書(身元証明書)という本籍のある役所が発行してくれる「禁治産者や準禁治産者、破産者等ではない」ことを証明する書面が取得できません。このため、身分証明書の代わりとなる書面の提出が必要です。
内容は管轄する警察署によって違うこともあるようですが、概ね、日本人2名以上に「この外国人は、禁治産者や準禁治産者のように、取引が制限された者(取引能力のない者)ではない」ということを証明してもらう内容で書面を作成することになります。
②古物商許可を取得できる在留資格を持っていること
外国人が日本で古物商許可を取得するためには、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「経営管理」の在留資格が必要です。その他の在留資格でも一定の条件の元に古物商許可を取得できる可能性もあり得ますが、僅少な事案となるでしょう。
古物商の事業計画書(経営管理ビザ)
古物商許可を取得すると、その後、入国管理局による経営管理ビザの審査が待っています。最近の経営管理ビザは事業計画書、特に収益計画については厳しく審査されますので、入国管理局から合理的な説明のつく収支計画が求められます。
業態にもよりますが、事業計画書の合理性を裏付けるための仕入れ契約書や販売契約書などの提出が求められることもあります。また、在庫を保管する場所の広さも、その広さが妥当かどうかを厳しく確認されます。
その他の注意点
なお、法人申請の注意点として気をつけるべきことは、法人の場合、店舗を複数の都道府県に出店することがよくありますが、古物商許可は、その営業所が存在する場所で許可を取る必要がありますので、都道府県ごとに古物商許可を申請する必要があります。
古物の営業所には、業務を適正に実施するための責任者として、必ず営業所ごとに1名の管理者を設けなければなりません。遠方に住んでいる、または勤務地が違うなど、その営業所で勤務できない人を管理者に選任することはできませんし、他の営業所との掛け持ちもできません。
外国人特有の論点や警察署とのやりとりもありますので、コンチネンタルでは、古物商許可の取得もワンストップでコンサルティングしています。(古物商許可アドバイザリー手数料:90000円・税抜き)
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員
【外国人のみなさま】
◆ 日本で働きたい
◆ 日本で会社を作りたい
◆ 結婚したい
◆ 永住したい
◆ 日本国籍をとりたい
【事業主のみなさま】
◆ 外国人を雇いたい
◆ 入国管理局への申請をしてほしい