韓国人・韓国法人が日本法人の株主になる場合の書類
韓国籍の個人が発起人として日本で会社を設立する場合、どのような書類が必要ですか?
会社設立に際しては、日本または韓国での印鑑証明書もしくはサイン証明書が必要です。
株主・出資者となる場合の必要資料
日本で株式会社・合同会社を設立する際には、出資者の日本の印鑑証明書が必要です。出資者の韓国籍の個人が日本の居住者であれば印鑑証明書を取得できます。
出資者が日本に住んでいない外国人(つまり非居住者)で日本の印鑑証明書が取得できない場合には、韓国の印鑑証明書またはサイン証明書とその日本語翻訳文を添付して提出する必要があります。
日本在住の韓国籍個人
就労ビザで日本に滞在中であるなど、日本で住民登録をしている韓国籍個人は、住民登録をしている市区町村役場で印鑑証明書を取得することができます。日本においては、住所が移転してから2週間以内に市区町村役場に転出届、転入届を提出しないかぎり、新しい住居地の住民登録はされませんので注意が必要です。
なお、まだ役所に個人の印鑑登録していない場合は、実印を作成して市区町村役場で印鑑登録をすることで印鑑証明書を取得することができます。印鑑証明書には登録できる印鑑の種類が規定されていますので、印鑑登録の際は住んでいる市区町村役場に確認してください。
住民登録地が韓国の韓国人(非居住者の韓国籍個人)
日本に住民登録がされていない韓国人の場合、日本の印鑑証明書を取得することはできませんので、韓国の印鑑証明書か中長期ビザで滞在する外国の韓国大使館が発行した印鑑証明書またはサイン証明書を代わりに取得することになります。
その韓国人が、韓国に住民登録がされている場合、韓国の印鑑証明書の取得が可能です。
一方で、その韓国人が韓国以外の外国に在住している場合は、滞在国の韓国大使館で取得できるサイン証明書を利用できる場合があります。その場合は、滞在国の大使館でサイン証明書の認証を行なっているかを確認する必要があります。
なお、韓国の印鑑証明書やサイン証明書の有効期限については法律的な定めはないのですが、定款を認証する公証人によっては日本と同様に発行から3ヶ月以内などとルールを設けている場合もありますので、事前に公証人に確認することが望ましいです。
ハングル文字の氏名は、そのまま登記することができず、日本語のカタカナまたは漢字に引き直して登記することができます。
韓国法人が株主となる場合
韓国の法人が株主となる場合、韓国の法人登記簿謄本と法人代表者の印鑑証明書とその日本語翻訳文が必要です。これらは日本の登記簿謄本及び代表者印の印鑑証明書の代替となるものです。法人が株主となる場合、代表者や取引担当者の身分証明書などが必要になる場合もあります。
実質的支配者となる者の申告書
実質的支配者となる者の申告書の提出に際して、本人確認資料として運転免許証や在留カードの写しなどの提出も求められます。海外在住者については、具体的に提出すべき資料などについては事前に公証人に確認が必要です。
注意点
韓国本国における対外直接投資に係る申告義務(韓国企業等が外国に投資する際の韓国側の規制)がある場合がありますので、十分に時間の余裕をもって会社設立準備をする必要があります。
また、韓国籍の個人または法人が新たに日本国内に新設会社を作る場合は、原則、その会社設立前後に日本の外為法の規定に基づく事前届出または事後報告のプロセスもありますので、注意してください。
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この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
行政書士 東京都行政書士会港支部 副支部長
CFP(日本FP協会)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員