「外交」の在留資格からの在留資格変更手続き
「外交」の在留資格からの在留資格変更は可能でしょうか?特別な手続きはありますか?
「外交」の在留資格は、日本国内での身分や待遇等について特例的な取り扱いとなり、派遣国での取り決め等についても注意が必要です。
外交の在留資格の変更
「外交」の在留資格は、諸外国との外交関係および国際機関との協調を維持・発展させることを目的として、日本国が接受する外交官、領事館等および国際機関の上位の職員を受け入れるために設けられたもので、国際法上、出入国制限および外国人登録の免除等の特権および免除が認められているものです。
日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動
現在、日本で活動する「外交」の在留資格を有する人が、他の在留資格への変更を行う場合、通常は、外務省儀典官室を通じてなされるところ、入国管理局に対して申請がなされた場合は、通常の審査を行い、その結果を外務省へ通報するため、(入国管理局作成の)意見書の写しを添付して法務省本省へ連絡するとされています(審査要綱)。
したがって、入国管理局への在留資格の変更申請を行うことは可能です。例えば、大使館幹部などが日本で起業してビジネスを始める場合、「外交」から「経営・管理」などの在留資格への変更する場合などが考えられます。
しかしながら、外交の在留資格に定められた活動に従事しながら日本国内で他の活動はできないため、在留資格の変更のためには、派遣国での外交の任務から離任する必要があります。離任に際しては派遣国における法令規則や派遣国政府と外交の在留資格を有する本人との取り決めなども考慮する必要があり、各国により異なることが想定されます。
通常の考え方としては、派遣国における離任の手続きとともに、派遣国大使館から外務省に離任の連絡を行い、外交旅券の切り替え等の手続きを行い、在留資格の変更をしていくこととなります。なお、在留期限(During Missionのため)は関係当局等と相談する必要も考えられます。このように派遣国や個別の事情を考慮して、派遣国及び日本国関係当局と十分に相談の上、個別対応となることとなります。
外交の在留資格からの永住申請
ちなみに、外交の在留資格から永住申請は、外交官等は派遣国政府の命令下において随時帰国等することもあり(そのため在留期間はDuring Mission/任務の間はずっと)、在留安定性等の理由から実務上申請そのものを受け付けていないようです。したがって、永住を検討する場合には、高度専門職などの在留資格へ一度変更した後に検討することとなります。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
1977年生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に18年間従事。在職中500人を超える起業家や上場企業経営者に対して事業計画や資本政策などの財務・資本戦略についての助言を実施
専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。趣味は日本人アイドルのコンサートとディカプリオ映画と猫と遊ぶこと。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)・日本証券アナリスト協会検定会員
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