介護業界への外国人学生のインターンシップ&就職
介護事業者が人手不足解消のため外国の大学からのインターンシップ生の受け入れやその後の自社での採用は可能でしょうか?
インターンシップ受入れの条件に適合することや技能検定試験(介護)、介護日本語試験への合格等ができれば検討可能です。
介護業界の外国人インターンシップ受入れの条件
インターンシップの目的は、外国の大学生等に対して、本邦企業等の現場を経験させ、大学内では得ることが困難な実践的で幅広い見識と実社会への適応性を身につけさせるため、大学が所属する大学生を本邦企業等に派遣し、本邦企業等がこれを受け入れる仕組みです。
しかし、最近、インターンシップ生を安価な労働力として悪用する事業者が多発したため、最近の入国管理局での審査は厳格化しています。したがって、原則は、日本人従業員を雇用する場合と同じように考える必要があります。
インターンシップの要件
- 大学等の専攻とインターンシップでの内容に関係性があること
(介護事業ならば医療介護・福祉分野の専攻学生など) - インターンシップが大学等の単位として認められること
- 受入企業の受入体制、指導体制の確保
(賃金水準)
賃金は最低賃金以上は必須です。研修であっても不当に安い賃金は認められません。
1ヶ月などの企業実務研修などであれば無給でも良いかもしれませんが、6ヶ月くらいのタームのインターンシップでは、実質労働者とみなされる可能性が高く、最低賃金以下の報酬は認められません。また、労働者であれば、相応の報酬水準が支払われるべきです。(社会保険)
また、以前は、インターンシップ中の社会保険へ加入せずに任意の民間保険などに加入していれば認められましたが、2ヶ月以上日本で実質労働者として働く場合は、労働法令上の定めが適用される点には注意が必要です(=入国管理局では、フルタイムで介護施設で働く以上、労働者として扱われ、賃金や社会保険などのコストを安く抑えようとすることは原則認めないというスタンスであるとイメージしてください)(インターンシップ計画書)
具体的かつ合理的な受入計画や受入体制、カリキュラムをインターンシップ計画書等で説明することが求められます。また、日本語能力の低い学生を受け入れるためには、母国語でサポートできる体制も求められる場合がありますし、日本語能力試験などで相応の日本語能力を示す必要がある場合もあります。さらに、介護業界の場合、深夜勤務や変形労働時間制の導入などがなされている事業者も多くありますので、インターンシップ生に対して、それらの条件を適用していくのか否か。適用される場合、法令上適切であるかなどには留意が必要です。
個別の事業主や施設によって異なりますので、オーダーメイドでインターンシップ計画書を作成する必要があります。※インターンシップに関わる詳細はこちら
大学等卒業後の就職について
介護業界で外国人が就職をするためには、主には以下の在留資格が想定されます。
- 技術・人文知識・国際業務(本社総合職での採用のみ・施設での現場業務は従事不可)
- 特定活動(本邦大学卒業者):日本の大学を卒業しかつ日本語能力検定N1を持っている場合
- 介護:社会福祉士の取得など在留資格「介護」の資格要件を満たす場合
- 特定技能(介護):所定の技能試験(介護)等に合格 または 技能実習2号を良好に終了した者
インターンシップ生の大学等での専攻内容は、介護福祉関連が想定されますので、①の技術・人文知識・国際業務、④特定技能(介護)の在留資格での就労が主に想定されます。もちろん介護福祉士の資格を取得している人は③在留資格「介護」で従事することも可能ですがその数は僅少と思われます(2018年末時点在留外国人273万人中185名)。外国の大学卒業者ですので、②特定活動(本邦大学卒業者)は概要しません。
まず、①技術・人文知識・国際業務の在留資格では、介護福祉分野での知見を生かした本社スタッフ業務が想定されます。具体的には、総合職として介護事業の経営企画業務、外国人材の採用や育成、外国人技能実習生の研修・管理・生活相談などを担当する人事関連業務などが想定されます。技術・人文知識・国際業務の在留資格で、施設の現場業務に従事することはできません。
次に、④特定技能(介護)の在留資格での就職が考えられます。インターンシップ後に帰国して母国で特定技能(介護)の技能検定試験等に合格、または、日本での試験が開催された場合には本邦在留中に特定技能試験に合格することが考えられます。インターンシップ生がインターンシップの要件を満たすために介護福祉の分野の専攻をしていたり、また、日本語学部などで高度な日本語能力を有していることが想定されますので、難易度が相応に高いことが想定される技能試験や介護日本語試験への合格も相対的に有利であると考えられます。
コンチネンタルのワンストップ・コンサルティング
コンチネンタルでは、上記のような介護事業者の外国人採用に関するワンストップコンサルティングを行なっています。また、もしも、現時点で対象者となる外国人スタッフが居ない場合でも適宜介護分野に強い外国人人材の紹介会社などをご紹介します。また、不許可になってしまった場合の、再申請が可能かどうかのアドバイスも行なっております。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
新しい在留資格制度に関わるビジネスモデル構築コンサルタント
1977年東京都生まれ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米Morgan Stanleyのジョイントベンチャー)において企業の資金調達、M&Aや株式公開等に関わるアドバイザリーなどの投資銀行業務に18年間従事。
新規上場をめざすベンチャー企業から世界的大企業までの500人以上の起業家やマネジメントに対して資本政策や財務戦略等についてのアドバイスを実施。上場企業経営陣に対する株式での経営者報酬スキームの日本国内初導入案件を担当するなど新しい制度改定にも積極的に取り組む。
外国人起業家への起業支援及び国内企業に対しての新しい在留資格制度に関わるビジネスモデル構築のコンサルティングに従事。
日本証券アナリスト協会検定会員
Certified Financial Planner(CFP)
申請取次行政書士(東京都行政書士会 港支部所属)
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