日本企業の外国人取締役、短期滞在と経営管理ビザの境目は?
日本本社で外国人取締役を登用します。しかし、彼/彼女は、外国の事業を統括する取締役で原則外国に駐在します。ビザは必要ですか?
所属する法人やどこから報酬が支払われるかによって、経営管理ビザか短期滞在ビザのいずれかが必要になります。
増える日本本社の外国人取締役
近年、コーポレート・ガバナンス・コードへの対応など、上場会社等では外国人取締役の登用が増えています。海外拠点のシニア・マネジメントとしてのみならず、日本本社の取締役として登用されるケースも目立ってきています。ここで問題になるのが、日本に居住していないで海外駐在で働く日本本社の取締役のビザ(在留資格)の種類です。
経営管理ビザが必要な場合
「日本法人の経営者に就任し、かつ日本法人から報酬が支払われる場合」、その取締役が経営会議や取締役会、そのほかの連絡業務などで短期来日するだけの場合であっても経営管理ビザの取得が必要になります(入国管理局審査要領)。
つまり、日本本社の取締役に就任していて、かつ日本本社から報酬が支払われる場合は、普段は海外駐在で仕事をしていて、月に一度、または年に数回、日本へ取締役会に出席するためだけに数日間来日するだけであっても経営管理ビザが必要になります。
その場合、日本に住居地が必要になり、入国管理局へ入管法上の届出もしなければなりません。しかし、日本に数日来日するだけの外国人取締役はホテルへの滞在になるところ、原則、入管当局ではホテル住まいを認めていませんので、そのような問題については、個別に解決をしていくほかありません。
なお、技術・人文知識・国際業務の在留資格で就業している外国人の幹部従業員が、昇格して新たに所属機関の取締役等に選任された場合は、実務上、直ちに経営管理ビザへの変更をすることまでは要しないこととし、現在有する技術・人文知識・国際業務の在留資格の在留期限の満了に合わせて、経営管理ビザへ変更することでも差し支えないとされています。
短期滞在ビザで足りる場合
一方で、日本法人の経営者に就任していない場合や、就任していても日本法人から報酬が支払われていない場合には、「短期滞在」の在留資格で短期的に来日して、経営会議や連絡業務に参加ができます。
つまり、日本本社の取締役ではあるけれど、報酬はアメリカ現地法人から支払われている場合などです。
査証免除国の場合、短期滞在の日数は国によって違うので注意してください。と言っても、取締役会などで数日の来日であればあまり問題にはならないかと思います。
この記事を書いた人
村井将一(むらい まさかず)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券(三菱UFJフィナンシャルグループと米モルガン・スタンレーとのジョイントベンチャー)で企業の資金調達やM&Aなどのアドバイスを行う投資銀行業務に従事。
在職中、現場業務に従事しながら従業員組合中央執行委員として職場内の外国人や女性の活躍などのダイバシティ推進、労務環境改善活動に従事。専門は外国人の在留資格手続きに関わるコンサルティング及び財務コンサルティング。
入国管理局申請取次行政書士・CFP(Certified Financial Planner)
日本証券アナリスト協会検定会員
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